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『リバビリンの催奇形性について』

水曜日, 9月 5th, 2007

KW:催奇形性・リバビリン・ribavirin・精巣形態変化・精子形態変化・避妊・避妊期間・精液中移行

Q:リバビリンの催奇形性について。なお、服用後の避妊期間の6カ月は安全を保証する適正な期間といえるのか

A:リバビリンの催奇形性について、添付文書等に次の通り報告されている。

[商]レベトールカプセル200mg(シェリング・プラウ株式会社)・一般名英名:ribavirin(JAN)。

*添付文書の『警告』欄に次の記載がされている。

1.本剤では催奇形性が報告されているので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。

2.本剤では催奇形性及び精巣・精子の形態変化等が報告されているので、妊娠する可能性のある女性患者及びパートナーが妊娠する可能性のある男性患者に投与する場合には、避妊をさせること。

3.本剤では精液中への移行が否定できないことから、パートナーが妊婦の男性患者に投与する場合には、【使用上の注意】を厳守すること。

*また、禁忌として、

1.妊婦、妊娠している可能性のある婦人又は授乳中の婦人[動物実験で催奇形性作用及び胚・胎児致死作用が報告されている。]の記載が見られる。

*更に重要な基本的注意として、

3.妊娠する可能性のある女性患者及びパートナーが妊娠する可能性のある男性患者は投与中及び投与終了後6ヵ月間は信頼できる避妊法を用いるなどして妊娠を避けること。また、投与直前の妊娠検査結果が陰性であることを確認後に投与を開始すること。なお、妊娠していないことを確認するために、妊娠検査を毎月1回実施すること。

4.精液中への本剤の移行が否定できないことから、パートナーが妊娠している男性患者には、その危険性を患者に十分理解させ、投与中及び投与終了後6ヵ月間は本剤が子宮内へ移行しないようにコンドームを使用するよう指導すること。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。[動物実験で催奇形性作用(ラット及びウサギ:1mg/kg/日)及び胚・胎児致死作用(ラット:10mg/kg/日)が認められている。]

2.授乳中の婦人には、投与を避けることが望ましい。やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている。]

*その他の注意

1.マウス3及び6ヵ月間投与試験(1-150mg/kg/日)で精子異常(15mg/kg/日以上)がみられたとの報告がある(休薬により回復)。

?(4) 胎盤・胎児移行:(参考)妊娠ラットに14C-標識リバビリン溶液20mg/kgを単回経口投与したとき、胎児組織中への放射能の移行が認められた。

3) 乳汁中への移行:(参考)授乳中のラットに14C-標識リバビリン溶液20mg/kgを単回経口投与したとき,放射能濃度の母乳/血漿比は0.6-1.3であり,本薬又は代謝物の乳汁中への移行性が認められた。

尚、警告の解説として、次の報告が見られる。

本剤は、動物での生殖発生毒性試験において、ラット、ウサギで催奇形性作用、ラットで胚・胎仔致死作用及びマウスで精子数の減少、精巣・精子の形態異常が認められている。本剤の投与に際して、安全性を確保する上で遵守すべき注意事項を[警告]の項に記載した。

・動物での生殖発生毒性試験において、次のような影響が認められている。

・1.0mg/kg/日以上の投与で、ラット、ウサギに催奇形作用。

・10mg/kg/日の投与で、ラットに胚・胎仔致死作用。

・15mg/kg/日以上の投与で、マウスに精子数の減少及び形態の異常。

本剤のヒト胎児への影響に関する報告はないが、動物実験での胎仔毒性は、臨床投与量より低い用量で認められているため、妊婦には本剤を投与しないこととした。また、妊娠している可能性のある女性患者には、治療開始直前の妊娠結果が陰性であることを確認してから投与を開始する。

・本剤は前述のように生殖発生毒性を有すること、また精液中への移行が否定できないことから、精液が子宮内に到達した場合には、胚・胎仔が曝露される可能性がある。妊娠する可能性のある女性患者及びパートナーが妊娠する可能性のある男性患者に投与する場合は、本剤投与中及び投与完了後6カ月間は信頼できる避妊法を用いて妊娠を避けるよう十分指導する。また、パートナーが妊娠している男性患者に投与する場合は、子宮内に精液が移行しないようコンドームを使用するよう指導する。

・妊娠していないことを確認するため、妊娠検査を毎月1回実施する。

尚、投与中止後『6カ月間』の期間設定について『本剤とインターフェロンアルファー2b(遺伝子組換え)24週間併用投与後の血中薬物濃度推移をもとにしたシミュレーションで、6カ月後には本剤がほぼ体内から消失していることが推測されています。従って、投与終了後少なくとも6カ月間は避妊する要注意喚起しています。』の報告がされている。

また、他の文献で本剤の催奇形性について、Category[X]とする評価も見られる。

*Category[X]:胎児に永久的な障害を引き起こすリスクの高い薬であり、妊娠中あるいは妊娠の可能性がある場合は使用すべきではない。ヒトでの適切なデータはないが、これまでにテストしたほとんどすべての動物で、ribavirinには催奇形性や胎児致死性の作用があることが分かっている。動物実験で、頭蓋骨、口蓋、眼、顎、骨格、消化管の奇形が生じることが知られている。胎児や仔の生存率が減少する。

その他、2001年10月3日に実施された薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会の議事録によれば、

『毒性に関しましては、リバビリンのラット、ウサギを用いた生殖発生毒性試験において、器官形成期投与で臨床用量を下回る投与量で胎児発育抑制、着床後死亡率の増加又は催奇形性が見られました。このような結果を受けて、リバビリンの添付文書では警告欄等で催奇形性に関する注意事項を記載することといたしました。

臨床に関しましては、国内でのリバビリンの投与量設定に関して用量設定試験は実施されておりません。申請者は海外のリバビリンの投与量を基に、既存の国内外インターフェロンの臨床試験で組み込まれた患者の平均体重等を考慮いたしまして、国内臨床用量はリバビリン1日800mg、ただし60kg以下の患者においては1日600mgと設定して国内臨床試験を実施しています。一方、インターフェロンアルファ-2bについては、既存の単独療法での用法・用量と同一としています。』の記載が見られる。

何れにしろ上記報告はヒトによるデータによるものではなく、動物実験のデータによるものである。また、6カ月間の安全期間の設定も血中薬物濃度推移からの推測であり、一定期間、実績を積み上げない限り100%の安全性の保証は第三者には困難である。

1)レベトールカプセル200mg:添付文書,2005年12月改訂(第6版)

2)雨森良彦・監修:オーストラリア医薬品評価委員会先天異常部会による評価基準「妊娠中の投薬とそのリスク(第4次改定版);医薬品・治療研究会,2001

3)レベトールカプセル200mg:新医薬品の「使用上の注意」の解説;市販後調査(平成13年12月-平成14年6月);シエリング・プラウ社,2001.11.

4)山口 徹・他監修:今日の治療指針;医学書院,2007

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