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「エゴノキの毒性」□□□□□□□□□□□□□□□

月曜日, 1月 8th, 2018

 

対象物□□□□□□□□□□□□□□□□

和名:エゴノキ(萵苣木:チサノキ)。
別名:チシャノキ、チサノキ、ロクロギとも呼ばれる。その他、セッケンノキ、シャボンノキとする名称も見られる。
漢名:麻厨子(マチュウシ)。中医学では使わない。西洋医学では、エゴノキの果皮にサポニンが含まれため、去痰薬の製造原料として利用した。
学名:Styrax japonica。
分類:エゴノキ科エゴノキ属。

エゴノキ-001
成 分□□□□□□□□□□□□□□□□

果実は長さ2cmほどの楕円形で、大きい種子を1個含む。熟すと果皮は不規則に破れて種子が露出する。 果皮に有毒なエゴサポニンを多く含む。ピーク時には果実にも同量のサポニンを蓄えるが、11月を過ぎると急激に減少する。エゴサポニンは胃や喉の粘膜に炎症を起こし、溶血作用もある。
果皮には10%と言う多量のエゴサポニン(egosaponin)を含み、誤食すると咽頭を強く刺激する。
サポニン (saponin) :広く植物界に分布する配糖体の一群で、その水溶液は起泡性で、動物に静脈注射すると溶血作用を示すが、これを内服した場合は比較的無害である。saponinはサポゲニンと糖から構成される配糖体の総称である。サボン草を初めとするさまざまな植物で見られ、一部の棘皮動物(ヒトデ、ナマコ)の体内にも含まれる。白色の無定形粉末で、両親媒性を持つため、水に混ぜると溶解し、振り混ぜると石鹸のように泡が立つなどの界面活性作用を示す。魚類にも中毒作用を示し、これらの毒性はsaponinの著しい界面活性作用が関係する。

一般的性状□□□□□□□□□□□□□□□□

エゴノキ-0035-10mの落葉小高木である。北海道-九州・沖縄迄、日本全国の雑木林に多く見られる。和名は、果実を口に入れると喉や舌を刺激してエグい(えごい)ことに由来する。5-6月に枝先に白色5弁の小花を多数咲かせ、後に直径1cmほどの果実を付けるが、果実は果皮が有毒である。
エゴノキ属は約100種類の落葉、常緑性の低木と小木からなり、広く南北アメリカ、アジア、ヨーロッパに分布している。
安息香樹脂で知られているStyrax benzoin(ベンゾイン、アンソッコウノキ)の樹脂は、16世紀にはヨーロッパに広まり、同時期に中国漢方にも取り入れられた。安息香は、同属のアンソッコウノキ(Styrax benzoin)およびシャムアンソッコウノキ(Styrax tonkinensis)の樹脂より作られる。
ユーラシア産のSytrax officinalis(セイヨウエゴノキ)から採れるバニラの香りのする固形樹脂は‘ストラックス’と呼ばれ、香、香水、薬品に使用される。日本では蘇合香(ソゴウコウ)の名で販売されている。

毒 性□□□□□□□□□□□□□□□□

エゴサポニンは原形質毒で溶血作用、血球破壊作用がある。種子は去痰薬とされているが、有毒であり、用量も決まっていないので、民間での使用は避けた方が無難である。果汁が眼に入ると酷く染み赤目になる。
有毒・有害部位:全体(果実)。

 

症 状□□□□□□□□□□□□□□□□

胃腸障害、咽頭・胃粘膜の刺激、眼の充血、溶血。

エゴノキ-006処 置□□□□□□□□□□□□□□□□

基本的処置(牛乳・卵白等の投与)・対症療法[バイタルサインを支持する治療法で、基本的には呼吸の異常、体温の異常、中枢神経の異常の管理である]。
果実を誤食した場合、生卵の黄身を飲めば治るという民間伝承がある。

事 例□□□□□□□□□□□□□□□□

具体的な事例の報告は、検索できなかった。

備 考□□□□□□□□□□□□□□□□

庭木などとして栽培するほか、緻密で粘り気のある材は将棋のこまなどの細工物、彫刻材、建築材とし広く使用される。saponinを含む新鮮な果皮は泡立ちがよいため以前は洗濯せっけんとして使用されていた。
またsaponinには魚毒性があるので、地方によっては魚の捕獲に使われていた。

文 献□□□□□□□□□□□□□□□□

1)林 将之・監:樹木図鑑-葉っぱで見わけ五感で楽しむ;ナツメ社,2014
2)川原勝征:毒毒植物図鑑;南方新社,2017
3)中井將善:気をつけよう!毒草100種;金園社,2002
4)伊沢凡人・他:カラー版薬草図鑑;家の光協会,2003
5)志田正二・編集代表:化学辞典 普及版;森北出版株式会社,1985
6)鵜飼 卓・監修:第三版 急性中毒処置の手引-必須272種の化学製品と自然毒情報;薬業時報社,1999
7)相馬一亥・監修:急性中毒診療ハンドブック-イラスト&チャートで見る;医学書院,2005

 

調査者:古泉秀夫 分類:63.099. 記入日:2018.1.7.