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『リョウブについて』

日曜日, 11月 30th, 2014

KW:健康食品・漢方・リョウブ・令法・Clethra barbinervis Sieb.et Zucc.・救荒植物・ハタツモリ・旗積り・畑積り・バルビネルビ酸・クリスリ酸・taraxerol

Q:令法について

A:リョウブについて次の報告が見られる。
リョウブ(漢名:令法)、日本各地及び済州島、中国山東省に分布。学名:Clethra barbinervis Sieb.et Zucc.。リョウブ科リョウブ属。古名:はたつもり(畑つ守)。山林に生え時に群落を造る落葉小高木である。高さ3-7m。枝は輪生状、幹は茶褐色。若枝には星状毛がある。葉は有柄で互生、倒皮針形鋸歯がある。夏、枝の先に長さ6-15cmの総状花序を出し、小さい白色の花を密に付ける。萼は5裂、花冠は茎0.5-0.6cm、深く5裂。雄蕊は10本。若葉は山菜とされる。庭木としても植えられる。古名:ハタツモリ(旗積り、畑積り)。樹皮は表面が縦長な形に剥げ落ちて、その後茶褐色で滑らかになるので、「サルスベリ」と呼ぶ地方もある。 葉は長さ10cm、幅3cmほどで倒卵形に近い楕円形、縁には細かい鋸歯がある。表面にはつやがなく、無毛または微毛を生じる。枝先にらせん状につくが、枝先にまとまる傾向が強い。昔は飢饉のときの救荒植物として利用された。また、腹中の虫を除去するの記載も見られる。現在は「令法飯」などの材料にする。 また、5年に一度しか採取できないがハチミツが市場に出ることも。結晶化せず、香り高い。

令法という名は、救荒植物として育て蓄えることを法で決められたからといわれるが、花序の形から「竜尾」がなまったとの説もある。ハタツモリは畑つ守などの字が当てられるが、語源ははっきりしない。

樹皮成分の一つはtaraxerolで、その他ceryl cerotinateが確認できた。リョウブ実中にウルソール酸とする報告が見られる。

有効成分:トリテルペノイドのバルビネルビ酸、クリスリ酸の報告が見られる。春の若葉を茹でて、水か灰汁に浸して、アクを抜き、ひたし物、いため物、汁の実、ご飯に混ぜてリョウブ飯に、そのまま薄く衣をつけて天ぷらに古くから、リョウブを食べると「癪(しやく)を消して湿熱を去り、中を補うことができる」としていて、平安時代から江戸時代には、飢饉に備えて若葉を蒸して乾燥して蓄えた。

1)ハテナ君が聞く「希少糖」って何?「太りにくい」のが人気:読売新聞,第49714号,2014.6.26.
2)廣田晋七・編:ミニ山野草図鑑<離弁花編>;全国農村教育協会,2013
3)牧野富太郎: 原色牧野日本植物図鑑 II;北隆館,2000
4)牧野富太郎: 原色牧野日本植物図鑑 I;北隆館,2003
5)田辺良久・他:薬用植物成分の研究(第7報)-リョウブの樹皮及び実の成分について;薬学雑誌,86(5):441-443(2966)
6)薬用植物一覧表;http://www.e-yakusou.com/sou02/soumm185.htm,2014.7.2.

                [011.1.CLE:2014.11.30.古泉秀夫]