トップページ»

『よっぽど合わないようで………』

水曜日, 11月 5th, 2014

                         医薬品情報21
                               古泉秀夫

statin剤(HMG-CoA還元酵素阻害薬)の服用がどうにも合わないということで、probucolに変更された。

probucolの血清総コレステロール低下の作用機序としては、LDL(低比重リポ蛋白)の異化率亢進作用、コレステロールの胆汁中への異化排泄促進作用及びコレステロール合成の初期段階での阻害作用が想定されている(食事性コレステロールの吸収阻害作用はほとんどないか、極めて弱いものと考えられる。)。黄色腫退縮及び動脈硬化退縮の作用機序としては、血清総コレステロール低下作用、HDLを介する末梢組織より肝臓へのコレステロール逆転送の促進作用及びLDLの酸化を抑制することによるマクロファージの泡沫化抑制作用(in vitro)が考えられている等の報告がされている。

尚、probucolの副作用として次の報告がされている。

重大な副作用

1.心室性不整脈(torsades de pointes)、失神(頻度不明*): 著明なQT延長に伴う心室性不整脈(torsades de pointes)、失神があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

2.消化管出血、末梢神経炎(頻度不明*):消化管出血、末梢神経炎があらわれたとの報告がある。

3.横紋筋融解症(頻度不明*):筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
(*自発報告又は海外において認められた副作用のため頻度不明。)

その他の副作用

1. 心臓(0.1%未満): QT延長等
2. 過敏症(0.1-5%未満): 発疹、そう痒等
3. 血液(0.1-5%未満): 貧血、白血球減少、血小板減少等
4. 精神神経系(0.1%未満): めまい、頭痛等
5. 消化器(0.1-5%未満):下痢・軟便、嘔気・嘔吐、食欲不振、腹痛、胸やけ
6. 消化器(0.1%未満): 腹部膨満感等
7. 肝臓(0.1-5%未満): AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、Al-P上昇、LDH上昇等
8. 腎臓(0.1-5%未満): BUN上昇等
9. 筋肉(0.1-5%未満): CK(CPK)上昇等
10. その他(0.1-5%未満): 尿酸上昇、空腹時血糖上昇
11. その他(0.1%未満): けん怠感

医師の判断では、statin剤よりは筋肉に対する影響は少ないと見ていたようであるが、服用2カ月後の検査で、CK値は129から340という数値に跳ね上がっていた。医師はCK値をみて、一瞬どうしようかという顔をしたが、その時には何ら自覚症状は出ていなかったため、引き続き服用を継続することになった。しかし、服用継続2週間後には、筋肉痛が発現し、更に尿が赤色に変化し始めた。

服用を中止したとしても、高脂血症で即死ぬことはないだろうということで、服用を中止した。尿の着色は直ちに消失し、筋肉痛も徐々に軽くなった。結局、コレステロールを根っこから抑え込むというタイプの薬は体質的に合わないということで、医師に処方の変更を御願いした。

現在は別の薬(ペリシット錠:三和化学)を服んでいるが、これには横紋筋融解症の副作用は現段階で報告されていない。

ペリシット錠は、1錠中に「日局」ニセリトロール(niceritrol)125・250mgを含有する製剤である。

重大な副作用として『血小板減少』(透析を受けている患者)が報告されている。

その他の副作用として、次の報告がされている。

1. 過敏症: 0.1~5%未満: 発疹、蕁麻疹。
2. 精神神経系:0.1~5%未満: めまい。精神神経系0.1%未満: 頭痛、手足のしびれ。
4. 消化器0.1~5%未満 食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢。
5.消化器0.1%未満:胸やけ、腹痛、心窩部痛、便秘、口渇、胃部不快感、胸部不快感
6. 消化器頻度不明:口内炎
7. 血液:頻度不明 貧血
8.肝臓0.1-5%未満 AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、肝機能障害。9.肝臓0.1%未満: Al-P上昇。10. 腎臓頻度不明:BUN上昇、クレアチニン上昇。11.代謝0.1-5%未満 血糖値上昇。12. 代謝頻度不明 高尿酸血症、CK(CPK)上昇。13.その他0.1-5%未満 潮紅、顔面潮紅、熱感注、そう痒感。14.その他0.1%未満 ピリピリ感、動悸、脱力感、浮腫。

本剤の薬効薬理として、次の報告がされている。

1.血清脂質低下作用:ラットを用いたin vivo実験で、ニセリトロールは、外因性脂質の吸収抑制、コレステロールの排泄・異化排泄促進、LPLの活性化促進、脂肪組織からの脂肪酸動員抑制作用により、血清コレステロール、血清トリグリセリド等の脂質を低下させた。
2.血清リポ蛋白代謝改善作用:ラットを用いた高脂肪食負荷実験で、ニセリトロールは、血清中のVLDL及びLDL分画中のコレステロール及びトリグリセリドの増加を著しく抑制し、HDL分画中のコレステロールを増加させた。
3.血小板凝集能抑制作用:ラット、ウサギ及びヒトの多血小板血漿を用いた実験で、ニセリトロールは、コラーゲン凝集、アラキドン酸凝集の抑制を示した。
4.血流増加作用:ニセリトロールはイヌの大腿動脈及び総頸動脈血流量を明らかに増加させた。

適用上の注意:服用時:空腹時に服用すると潮紅、熱感等の発現が多くなるので、食後すぐに服用することが望ましい。

当初の目的である『高脂質血症の改善』が出来ればstatin剤に拘る必要はないが、横紋筋融解症の前駆症状は、高齢者の場合、身体機能の低下と区別が難しい。つまり副作用による筋肉痛、あるいは腰痛と、高齢による筋肉痛の区分が付け難く、副作用と気付くまでに時間が掛かってしまった。その当たりの見極めをどうするのか、もっと検査値の変化に気を遣うべきではないかと思われる。事実服用中に『CK値が129から340という数値』に変化したわけであるから薬の変更等に気を遣うべきであったと考えている。

1)高久史麿・他監修:治療薬マニュアル;医学書院,2007
2)ロレルコ錠・細粒添付文書,2007.7.
3)ペリシット錠125mg添付文書,2013.2.

       (2014.9.3.)