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『すき家の過重労働』

木曜日, 10月 2nd, 2014

              魍魎亭主人

牛丼チェーン「すき家」の過酷な職場実態が運営会社が設置した第三者委員会の調査報告書で明らかになった。1ヵ月の勤務時間が500時間を超え、2週間も帰宅が出来ない。深夜の店を1人で任され、トイレに行く時間も取れない。挙げ句の果てに強盗に狙われ、命を危うくする。

こうした無理な勤務体制が常態化し、労働基準監督署から再三法令違反を指摘されていながら運営会社のゼンショーホールディングスは根本的な対策を取らず放置してきた。会社も反社会的な存在だが、再三法令違反を指摘しながら、具体的な改善を図ることが出来ない会社を放置し続けた労働基準監督署も、情けないと云わざるを得ない。

ゼンショウは今年度、創業以来初の赤字決算に転落する見通しとなったという。激務に関する情報が、ネットなどで広がるに従い、勤務希望者が激減、アルバイトの確保が困難になった。飽くなき店舗網の拡大と、労働コストの切り下げで、利益を叩き出すというビジネスモデルの欠陥を露呈したと云われている。

会長兼社長は『全ての店で、24時間営業する方針は変更する』として、深夜の一人勤務を解消する考えを表明したという。新宿や渋谷等の夜も寝ない町ならいざ知らず、真夜中に動いている人間の居ない路地裏の店まで24時間営業をする必要はないはずである。ただ闇雲に店の数を増やし、食い物の安売りをする。大量に仕入れることで安く買い叩く、結局は物が安く出来る海外に仕入れの拠点を置く。如何に人件費の安い国とは云え、労働者の意識は変わる。何時までも賃金が安いままでいる訳ではない。

商品を安く出したいと思っても、人件費が上がってくれば、そう簡単にはいかない。商品の切り下げだけで対処しようとすれば、屑肉や腐肉を混ぜるぐらいはやってみせるのではないか。安い商品が価値があるという考え方は、国内のみならず外国の労働者の搾取に繋がるのではないか。適正な賃金を支払うと云うことからいえば、適正な商品価格で販売し、適正な利益を上げるということが重要なはずである。

食品の味を誤魔化す為に、各種の調味料を加えることで濃い味の味付けにする。つまり味を濃くすることで、食材の鮮度を誤魔化している。そういう食い物に馴らされると、人間の味覚は後退する。誰もが同じような食い物を旨いというのは、その味に馴らされているからに過ぎない。

国内のあらゆる場面で、大型店舗やチェーン店が増加しているが、それらの店が必ずしも、客の必要な物を揃えているわけではない。そういう店は、安く売るために大量仕入れ大量販売という方式を取らざるを得ない。客は価格の安さは手に入れることが出来るかもしれないが、使い慣れた商品が店の仕入れの方針に合わなければ、手に入れられないと云うことになる。更に大型店の場合、居住者の数が減少すれば販路狭小と云うことで、恥も外聞もなく撤退を決定する。結局は地域住民の利益よりは、企業の利益を優先させることになる。

            (2014.8.9.)