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『ブラックコホシュについて』

火曜日, 7月 30th, 2013

 

KW:サプリメント・ハーブ・ブラックコホシュ・キンポウゲ科・アメリカショウマ・サラシナショウマ・晒菜升麻・更科升麻・有害事象・肝障害・

Q:ブラックコホシュについて、摂取による有害事象は何か報告されているか。

A:ブラックコホシュは、キンポウゲ科の植物で、北米に分布する多年生草植物である。英名:black cohosh、英名:black cohosh。別名:アメリカショウマ(actaea racemosa)、サラシナショウマ(晒菜升麻:bugbane、更科升麻)、シミシフーガ(cimicifuga)。
                  
成分として植物性エストロゲン、植物由来エストロゲン様物質。シクロアルタン型トリテルペン配糖体(actein、acteol、cimiracemoside A、26-deoxyactein、cimicifugoside、cimigenol)、イソフラボン、有機酸類(tannic  acid、gallic acid、isoferulic acid、salicylic acid)、脂肪酸(oleic acid、palmitic acid)、ステロール(phytosterols等)を含む。

北米における先住民が伝承してきた神経痛の治療用薬草であるとする報告がある。米国では人気のあるsupplementsの一つで、「女性ホルモンのバランスを整える」といわれ、月経前症候群や更年期症状の緩和に利用されているとする報告も見られる。但し、月経前症候群、乳がんに罹患した女性のほてり、有痛性の月経、胃のむかつき、筋肉痛、発熱、咽頭痛、咳、虫除け、にきび、あざ及び疣贅除去について、科学的なdataは不十分であるとされている。

ブラックコホシュの安全性について、適切に経口摂取した場合は、安全性が示唆されているが、胃もたれ、頭痛、湿疹、倦怠感、体重増加等の副作用があるとする報告が見られる。また、黄疸、肝炎のような肝臓異常も起こるかもしれない。妊娠中・授乳中は危険性が示唆されているため使用すべきでないとされる。また、肝臓に害を与える可能性があるので、肝毒性を示す可能性のある医薬品を投与されているときにブラックコホシュを摂取することは、肝障害を惹起する可能性があるので、摂取を回避する。

黄疸や何時もとは違う疲労感、又は尿の色が茶色くなる等の症状が見られた場合、使用を中止し、医師に相談する。

海外ではブラックコホシュの摂取との関連が危惧される肝障害の事例報告が多数ある。そのため欧州医薬品局 (EMEA) のハーブ医薬品に関する委員会 (HMPC) 、英国医薬品 (MHRA) 、フランス食品安全庁 (AFSSA) 、フィンランド食品安全局は、製品への警告表示の追加など、健康被害防止に対する注意喚起を行っている。日本でも2006年8月、厚生労働省が注意喚起を行っている。

本品に関する厚生労働省の注意喚起文書は、以下の通りである。

                                                                        事務連絡
                                                              平成18年8月3日

都道府県
各  保健所設置市
   衛生主管部(局)食品衛生担当課御中
特別区

                                                            食品安全部基準審査課
                                                            新開発食品保健対策室

 

          海外におけるブラックコホシュの利用に関する注意喚起について

ブラックコホシュ[英名:black cohosh, black snakeroot、学名:Cimicifuga racemosa(L.)、(キンポウゲ科の植物)]を含む製品は、欧州では更年期障害の症状緩和の目的などで医薬品として販売されており、我が国や米国では食品として販売されています。
諸外国において、ブラックコホシュを摂取した場合の主要な健康被害として、肝障害が報告されており、欧州医薬品庁(EMEA)のハーブ医薬品に関する委員会(HMPC)では、入手可能なデータの評価により、これらの肝障害はブラックコホシュの利用と関連している可能性があるとみなし、肝障害の徴候があらわれた場合のブラックコホシュの使用の中止、医師への相談、医師から患者への使用確認、症例の報告を促す勧告を出しています。これを受け英国医薬品庁(MHRA)、フランス食品衛生安全庁(AFSAA)、フィンランド食品安全局でも、注意喚起を行っています。また、カナダ保健省(Health Canada)も同様の注意喚起を行っています。
日本国内でブラックコホシュ又はこれを含む食品を摂取したことによる健康被害事例はこれまで報告されていませんが、ブラックコホシュの摂取については念のためご注意下さい。

本件に関する詳しい情報は、独立行政法人国立健康・栄養研究所のホームページ(下記)をご覧下さい。
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail281.html

                                                                        事務連絡
                                                            平成24年11月19日

都道府県
各  保健所設置市
   衛生主管部(局)食品衛生担当課御中
特別区

                                                            厚生労働省医薬食品局
                                                            食品安全部基準審査課

                ブラックコホシュの利用に関する注意喚起について

ブラックコホシュ[英名: black cohosh ,black snakeroot 、学名:Cimicifugaracemosa L(.)(キンポウゲ科の植物)]については、平成18年8月3日に利用に関する注意喚起を行ったところです。

今般、英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)が、ブラックコホシュ製品の関連が疑われる53例の健康被害事例のうち、36例は肝機能異常、黄疸、肝炎などの肝臓に関するものであることから、ブラックコホシュによる肝障害の危険性について、改めて注意喚起を行った旨の情報を入手したところです。

現在のところ、日本国内でブラックコホシュ又はこれを含む食品を摂取したことによる健康被害事例はこれまで報告されていませんが、貴担当課においては、管轄の関係事業者及び消費者からの相談等に対し、当該情報を提供していただくとともに、改めて、ブラックコホシュの摂取については、念のため注意するよう周知方よろしくお願いします。

なお、英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)の情報については、以下URLで確認できます。

(英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)の情報)
http://www.mhra.gov.uk/NewsCentre/Pressreleases/CON199545

1)田中平三・他監訳:健康食品のすべて-ナチュラルメデシン・データベース-:同文書院,2006
2)北川 勲・他:食品薬学ハンドブック;講談社サイエンティフィク,2005

               [015.4BLA.2013.7.20.古泉秀夫]