トップページ»

「惚け茄子」

水曜日, 7月 3rd, 2013

            魍魎亭主人

鳩山由紀夫元首相は6月25日の香港フェニックステレビとのインタビューで、沖縄県の尖閣諸島について「中国側から見れば(日本が)盗んだと思われても仕方が無い」と述べ、同諸島は「係争地である」との認識を示したという[読売新聞,第49350号,2013.5.26.]。

元々とてつもなく方向音痴な方だから、何を云っても驚かないが、少なくとも元首相である。立ち飲み屋の酔っ払いの戯言ではないのである。外国に利用されて、外国の利益になるような世迷い言を発言すべきではないだろう。

中国政府は、尖閣諸島が日清戦争末期に日本に奪われたとの立場から「日本が清国人から盗取した一切の地域を中華民国に返還する」というカイロ宣言を領有権主張の根拠としているとのことである。鳩山氏は「カイロ宣言の中に尖閣が入るという解釈は、中国から見れば当然成り立つ話だ」と述べ、中国政府の言い分に理解を示したと云うが、あんた何処の国の人間なんだと云うことだろう。それとも近いうちに中華民国に移住でもしようというのか。

しかし、それにしても一国の首相をやった人とは思えない発言をする人である。世界の情勢が全く見えていないというか、見ようとしていないと云おうか、それともそういう風に見えると云うことか。ただ、こんなお気楽な立場で、色々発言することはそろそろ止めてはどうか。今度の発言は、明らかに国損を与える発言で有り、中国を喜ばせ、勢いづけるだけである。

今、あの国は自国の権益を広げることに懸命になっており、恥も外聞もなく彼方此方にゴリ押しの手を伸ばしている。そういう国のマスコミの取材を受ける場合、サービス精神の発露は危険である。多分、お坊ちゃま気質で、物分かりのいい回答をしたのだろうが、尻の毛まで抜こうと構えている相手に、見せる態度ではない。八方美人もいい加減にしろと云わなければならない。

下手をすれば、尖閣諸島で、越境してくる彼らの船と、我が方の船との間に、何かが起こる可能性も否定できない状況下で、安気な話はしないほうがいい。それが分からないとすれば、煮ても焼いても食えない惚け茄子である。

                   (2013.6.26.)