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『タミフル考』

木曜日, 3月 17th, 2011

        魍魎亭主人 

27日午前1時20分ごろ、仙台市宮城野区の13階建てマンションの11階からマンションに住む中学2年の男子生徒(14)が約30m下の駐車場に転落し、頭などを強く打って死亡した。仙台東署によると、生徒はインフルエンザを発症し、26日は中学校を欠席。医師から治療薬「タミフル」10錠などを処方され、26日夜の就寝前までにタミフル2錠を服用していたという。転落の直前に苦しがり、そばに寝ていた母親を起こし、「トイレに行く」といったまま玄関を出たという。生徒は11階の自宅前の共用通路にある高さ1.26mの柵を乗り越えて転落したと見られる。遺書などはなく、変わった様子も見られなかったことから同署は自殺の可能性は低いとみて、タミフル服用と転落の因果関係などを調べている。

タミフル服用後の事故は、今月16日にも愛知県蒲郡市で女子中学生(14)が自宅マンションから転落死したケースがあり、厚生労働省は製薬会社を通じて情報を収集する。柳沢厚労相は、服用と事故の因果関係について、「専門的な検討をしなければいけない」としたが、現時点での注意喚起については「根拠がしっかりしていることが必要」と否定的見解を示した。

同省によると16歳以下がタミフル服用後に死亡したケースは、昨年10月末現在で16例報告されたが、専門家による検討で因果関係は「否定的」とされた[読売新聞,第47045号,2007.2.27.]。

インフルエンザ治療薬「タミフル」を服用した中学生が転落する事故が、2月中に2件続いたことを受けて、厚生労働省は28日、「未成年者がインフルエンザにかかると精神・神経症状がでて、異常行動をとる場合がある」として、発症後2日間は未成年者を1人にしないよう注意を呼びかけた。同省は2件については調査中だが、現段階では、タミフルと異常行動の因果関係を否定している。

同省は、小児や未成年の患者が自宅で療養する場合、

?異常行動が起きる可能性を医師が説明する。
?インフルエンザ診断後、少なくとも2日間、1人にならないよう保護者が配慮する。

………ことが事故防止に適切としている。厚生労働省の研究班の調査で、異常行動の95.6%が発症後2日間に集中していた[読売新聞,第47047号,2007.3.1.]。

インフルエンザ治療薬「タミフル」の使用後に異常行動を起こした事例が新たに2例あったことが判明し、厚生労働省は20日、10代への使用中止を求める緊急安全性情報を出すよう、輸入・販売元の「中外製薬」(東京都中央区)に指示した。厚生労働省ではこれまで、タミフルについて「安全性に問題はない」としていたが、対応が必要と判断した。ただ、10歳未満については中止は求めず、これまで通り保護者に注意を呼びかけるとしている。

厚生労働省によると、先月7日、昼と夜にタミフルを服用した10代の男児が、翌日午前2時ごろ、素足で外に走り出すなどした後、自宅2階から飛び降り、右膝を骨折。また、今月19日にも、昼と夜にタミフルを服用した別の10代男児が、深夜に自宅2階のベランダから飛び降り、右足のかかとを骨折する事故が起きていたことが20日同省に報告された。今年2月には、中学生2人がタミフル服用後に自宅マンションから転落して死亡する事故もあったことから、厚生労働省では、タミフルと異常行動の因果関係については「否定的」との見解を変えないまま、”警告”が必要と判断した。

これまでの事例から、異常行動を起こした場合、親などが制止しにくい年代の10代に対象を絞り、「原則として使用を差し控える」ことを求めている10代未満については、インフルエンザ自体による死亡事例も他の年齢層と比べて多く、タミフル使用の必要性があるとして、使用中止は求めず、これまで通り、インフルエンザと診断されてから2日間、目を離さないよう保護者に呼びかける

厚労省によると、昨年10月末現在で、16歳未満でタミフル服用後に死亡した事例は16例。また、17歳の事例1件も含め、異常行動後に転落死するなどした事例はこれまでに5件が確認されている。しかし、専門家が症例を検討し、因果関係に否定的な見解を示したことなどから「現段階でタミフルの安全性に重大な懸念があるとは考えられない」としてきた。21日未明に記者会見した厚労省の黒川達夫審議官は、「新たな事例が報告され、(安全性を)再度評価しなおし、注意喚起のレベルを上げようということになった」述べた [読売新聞,第47067号,2007.3.21.]。

「安全性に問題はない」という姿勢から一転して10代に対する投与見合わせ方針が決まったインフルエンザ治療薬「タミフル」。21日未明に緊急会見を開いた厚生労働省は服用と異常行動との因果関係を否定しながらも、「慎重に対応してもらいたい」と苦しい説明に追われた。一方、タミフル服用後に子供が死亡するなどした家族らは、厚労省の対応の遅さを批判した。

新たな2件の事故報告を受け、厚労省幹部と中外製薬の担当者は、21日午前0時過ぎから、同省で記者会見した。厚労省によると、2例の事故のうち、今月18日に発症した事例については、20日、医療機関から直接同省に報告があった。2月上旬に発症した事例については、3月上旬時点で「異常行動があった」という報告は寄せられていたものの、飛び降りについてはこの日になって中外製薬からの情報で判明したという。

同省幹部は、これまでと同様、今回の2件についても「タミフル服用との因果関係については否定的」と強調。その一方で、一転して投与中止を指示したことについては、「これまで注意を促してきたが、残念ながらこのようなことが起きてしまった。関係があるかないかに係わらず、取り敢えず使用を差し控えてもらいたい」と説明した。

タミフルに詳しい菅谷憲夫けいゆう病院小児科部長(横浜市)は「因果関係がはっきりしていないのに、10代に限定するのでは現場が混乱するのではないか。どうしてもタミフルが使えないなら(別の治療薬である)リレンザを使えばいいだろう」と話している。
タミフルを服用した子供が転落するなどして死亡する事故は、過去3年余りの間に、少なくとも5件確認されている。

タミフル服用後の異常行動で死亡した事例

2004年2月 岐阜 高2男子が雪の中をはだしで自宅から飛び出し、トラックにはねられて死亡[薬害タミフル脳症被害者の会 家族設置]。

2005年2月

愛知 中2男子マンション9階から転落死。
2006年7月 沖縄 中1男子が県営住宅から転落死。6階の自宅から9階廊下に移動した可能性。
2007年2月 愛知 中2女子が自宅マンションから転落死。10階外廊下の手すりを乗り越える。
宮城 中2男子が自宅マンションから転落死。11階の転落防止壁を乗り越える。

このうち、今年2月下旬に仙台市のマンション11階から中学2年の男子生徒が転落死した事故は、最初の服用から2日目の未明に起きた。医師は処方の際に「異常行動をとる可能性があるので、2日間は一人にさせないように」説明していたが、生徒は、隣で寝ていた母親に苦痛を訴えた直後、「トイレに行く」といったまま玄関を飛び出し、転落防止壁を乗り越えて転落した。

同月中旬には、愛知県蒲郡市のマンション10階に住む中学2年生の女子生徒が、家族が出かけた後、外廊下の手すりを乗り越えて転落死する事故も起きた[読売新聞,第47047号,2007.3.1.]。

インフルエンザ治療薬「タミフル」を巡る問題で、服用後に未成年者が飛び降り・転落などの異常行動をとったケースは、厚生労働省が把握しているだけで計16件あることが21日分かった。同省はタミフルと異常行動の関連について否定的な姿勢をとり続けているが、成年の事例も合わせた計23件すべてについて、因果関係の有無を精査しなおすことをきめた。厚労省は同日午後、2月中に12歳と16歳の男児がタミフル服用後、2階から飛び降りるなどした事故があったことを新たに明らかにした。未成年者の異常行動は計16件になり、すべて10代だった。同日未明に、10代への使用中止に関する記者会見をした際には、この2件について公表していなかったが、同省はその理由について、「インフルエンザを発症した未成年者から目を離さないよう注意喚起した先月28日の対策以前の事例なので、公表する必要はないと考えた」としている。また、大人の異常行動による事故は自殺が疑われるケースを含め、7件が報告されていたという。同省は、タミフル服用後の異常行動の報告数が増えていることから、これまでは詳細な調査を行っていなかった負傷事例についても、精査する必要があると判断。既に詳細調査を行った事例についても、
再度調査を行うことにした[読売新聞,第47068号,2007.3.22.]。

インフルエンザ治療薬「タミフル」を巡る問題で、柳沢厚労相は23日、閣議後の記者会見で、異常行動との因果関係に「否定的」としてきた厚生労働省の見解が事実上撤回されたことに関連し、「疑いが出てきたといえばそういうことだ」と述べ、これまでの判断に誤りがあった可能性を示唆した。柳沢厚労相は「因果関係があるという新しい知見がもたらされたわけではない」と強調しながらも、「いくつも頻発し、今までの判断で良かったのかということで、見直しをしなくてはいけないとなった」と述べた[読売新聞,第47069号,2007.3.23.]。

インフルエンザ治療薬「タミフル」を巡る問題で、厚生労働省の辻哲夫次官は22日の定例記者会見で、タミフル服用と異常行動の因果関係について「これまで『否定的』という見解をとってきたが、虚心に検討する。今後、判断も変わりうる」と述べ、従来の見解を事実上撤回した。また、服用後に異常行動をとりながら死亡に至らなかった負傷事例を分析していなかったことも明らかにした。転落・飛び降りなどの異常行動による負傷事例は、未成年11件、成年4件。これ以外の死亡事例8件は専門家が分析を加えるなどしていたが、負傷事例は副作用が疑われる情報の一覧表に担当者が目を通す程度だったという。医療機関から今月19日の飛び降りが20日に報告された際、過去の事例を洗い直すまで、同省安全対策課では負傷事例が15件に上がることも把握していなかった。辻次官は「膨大な副作用情報が入ってくるので、死亡事例からチェックしていた。異常行動をひとくくりにして、中身を詳細に分析していなかった」と、対応のまずさを認めた。タミフルの副作用が疑われる情報は、2001年2月の発売以来、述べ1,763件報告されており、同省は今後、この全てを検討するという。特に精神・神経系の副作用については、服用の状況や発症の経過を専門家による審議会で詳しく調査する[読売新聞,第47069号,2007.3.23.]。

インフルエンザ治療薬「タミフル」を巡る問題で、柳沢厚労相は23日、タミフルの輸入・販売元「中外製薬」から寄付金を受けていた研究者について、異常行動との因果関係などを調べる厚労省研究班から除外する方針を、衆院厚生労働委員会で明らかにした。厚労省では事実関係を調査した上で、研究班のメンバーを入れ替える方針。研究班では、主任研究者の横田俊平・横浜市立大教授(小児科)らが、主宰する大学の講座(研究部門)あてに中外製薬から奨学寄付金を受けていた。柳沢厚労相は、「(寄付を受けていた研究者については)当然、除外して新しい体制の機関にしていささかも公正性を疑われることのない体制を構築する」と答弁した。

研究班は昨年度から、インフルエンザにかかった小児患者を対象に、タミフルを服用した場合と、しない場合の異常行動が起きる割合などを調査。昨シーズンについては、服用の有無で差はなかったとする結論を出し、厚労省が「否定的」としていた根拠の一つとなっていた。横田教授は「厚労省から話を聞いていないので、コメントは控える」との談話を出した[読売新聞,第47070号,2007.3.24]。

インフルエンザ治療薬「タミフル」服用後に異常行動をとった9歳の女児が、インフルエンザにかかっていないと診断されていたことが28日分かった。診断した医師は「異常行動の原因はタミフルの可能性がある」と話している。厚生労働省も事実関係を把握し、タミフルとの関連について検討することにしている。女児を診察した都立八王子小児病院(東京都八王子市)の久保田雅也・小児内科医長によると、女児は昨年3月、都内の医療機関でかぜと診断されたが、その後39度まで体温が上がったため、家族の希望でタミフルが処方された。午後8時頃にタミフルを飲んで眠ったが、2-3時間で起きて叫びながら家の外に飛び出そうとし、家族が5-6分間体を押さえたという。その後、インフルエンザではないと診断された[読売新聞,第47075,2007.3.29.]。

横浜市栄区の医院でインフルエンザと診断された中学2年の男子生徒(14)が、自宅2階から転落していたことが29日分かった。厚生労働省が10歳代への使用中止を求めたインフルエンザ治療薬「タミフル」は服用していなかった。怪我はなかったが、意識が一時もうろうとした状態だった。

横浜市小児科医会によると、男子生徒は38度の熱を出し、20日に個人医院でB型インフルエンザと診断された。症状は軽く、医師は解熱剤アセトアミノフェンだけを処方した。同様の異常行動は、17日にもタミフルを服用していない14歳の男子生徒が自宅2階から飛び降りて足を骨折したケースが明らかになっている[読売新聞,第47076号,2007.3.30.]。

インフルエンザ治療薬「タミフル」と異常行動の関連について調べる厚生労働省の研究費用の一部に、輸入販売元「中外製薬」の寄付金が充てられていた問題で、柳沢厚労相は3日の閣議後記者会見で、「かなり反省すべき部分がある」と、厚生労働省側の落ち度を認めた[読売新聞,第47080号,2007.4.3.]。

厚生労働省は2日、インフルエンザ治療薬「タミフル」と異常行動の関連などについて検討する薬事・食品衛生審議会安全対策調査会について、委員の池田康夫・慶応大医学部長が出席を辞退したことを明らかにした。タミフルの輸入販売元「中外製薬」が行った他の薬剤についての治験(臨床試験)にかかわったことが理由という[読売新聞,第47080号,2007.4.3.]。

京都市伏見区で先月27日、インフルエンザにかかっていた小学6年生の男児(12)がマンション9階の自宅ベランダから転落して死亡していたことが、2日判った。インフルエンザ治療薬「タミフル」は服用していなかった。京都府は異常行動の症例として厚生労働省に報告した。男児は26日から高熱を出し、27日夕、市販の風邪薬を飲んで寝ていたが、同夜、転落した[読売新聞,第47080号,2007.4.3.]。

インフルエンザ治療薬「タミフル」服用後の死亡例について検証した厚労省の薬事・食品衛生審議会安全対策調査会に昨年1月、参考人として出席した五十嵐隆・東大教授(小児科)が主催する講座宛に、輸入販売元の中外製薬から計300万円が寄付されていることが分かった。五十嵐教授によると、2001年度から2006年度にかけて、同社から毎年50万円ずつ寄付を受けた。五十嵐教授は、タミフルの安全性が議題とされた同調査会に参考人として出席し、「死亡例には、明らかに薬剤との関係が濃厚というものはなかった」との意見を述べていた。五十嵐教授は「寄付金は、大学を通じて、適正に受けている。調査会での発言への影響は全くない」と話している[読売新聞,第47081号,2007.4.4.]。

インフルエンザ治療薬タミフルに対する耐性を獲得したインフルエンザウイルスが、人から人に感染した可能性のあることを、河岡義裕・東大医科学研究所教授と菅谷憲夫・けいゆう病院小児科部長らのグループが初めて確認、4日付の米医師会雑誌に発表した。研究グループは、2004年から2005年のシーズンに日本で流行したインフルエンザB型に感染した患者のうちに、タミフルを飲んだ子供74人、タミフルを飲んでいない348人(うち大人66人)からウイルスを取り出し、タミフル耐性獲得の有無を調べた。その結果、計422人のうち1.7%に当たる7人のウイルスからタミフルが効きにくい遺伝子変異が見つかった。そのうち6人はタミフルを服用していなかった。日常生活の中で家族や他人から感染したと推測された。新型インフルエンザになるA型でも、タミフル耐性ウイルスが見つかっているが、人から人への感染の可能性を強く示す研究成果は初めてという[読売新聞,第47081号,2007.4.4.]。

タミフルの副作用が社会問題化して以来、専門家が初めて集まり、現行の対策などについて話し合うために開かれた4日の厚生労働省の調査会。議論は3時間半に及んだが、データそのものの不足に加えて、資料の精査が足りないことなどを理由に、因果関係についての結論は持ち越された。低年齢層に多い異常行動や突然死と、タミフルとの因果関係が焦点となったこの日の調査会には、精神科、小児科などの分野から17人の参考人が出席。冒頭、厚生労働省側が輸入販売元の中外製薬からの寄付を受けるなどした人は出席者から除外したことを説明した。会議には、副作用が疑われた1079人分の報告の原本など計2600頁にも及ぶ膨大な資料が配付されたが、参考人からは「タミフル服用時の状況など個々の症例に関するデータが少なすぎて判断できない」といった意見が相次いだ。その上で、精神科医や小児科医からは「異常行動は睡眠障害に伴う症状が多く含まれているが、それとの関連に着目した分析がない」「インフルエンザ脳症との線引きが難しい」といった意見が出されてた。「インフルエンザの症状として、突然死は一般的ではない」など、タミフルとの因果関係も否定しきれないとする意見もあった。調査会では今後、作業部会を設けて、引き続き症例の検討などを行う。

インフルエンザの症状があって、タミフルを服用していない患者が異常行動を起こした事例が、先月23日から今月2日迄に11例報告されていたことも、調査会に報告された。医療機関などが自主的に報告したものを厚生労働省がまとめたもので、10代の男性10人と10歳未満の女児1人が飛び降り、転落などの「異常行動」をとり、うち1人が死亡していた。11人のうち7人はタミフル以外の薬を飲んでおり、2人は薬を服用していなかった[読売新聞,第47082号,2007.4.5.]。

インフルエンザ治療薬「タミフル」をめぐる問題で、厚生労働省は19日、同省のホームページ上のインフルエンザに関するQ&Aの記述を変更し、これまでの「現段階でタミフルの安全性に重大な懸念があるとは考えていません」との表現を削除した。タミフル服用後に異常行動を起こす事例が相次ぎ、原則として10代の使用を禁止したことなどを受けたもの。新たなQ&Aでは、この措置について、「因果関係は不明」のまま予防的に行ったものと説明している[読売新聞,第47097号,2007.4.20.]。

医薬品の承認審査や安全対策などを議論する厚生労働省の薬事・食品衛生審議会薬事分科会は、23日製薬企業から過去3年間に年間500万円を超す寄付などを受けた委員を、その企業の医薬品に関する審議と議決から外すことを暫定ルールとして申し合わせた。年内を目途に正式なルールを決める。インフルエンザ治療薬「タミフル」の安全性が議題となった同分科会の調査会に、参考人として出席した東大教授が、タミフルの輸入販売元「中外製薬」から寄付金を受けていたことが明らかになり、同分科会でルールを検討することになった。暫定ルールが適用されるのは、同分科会と傘下に設けられている部会や調査会。一企業からの奨学寄付金や、コンサルタント料などが年間500万円を超えた場合には、その企業の医薬品について審議を行っている間、退室する。500万円以下の場合は、意見を述べることは出来るが、議決には加わらない[読売新聞,第47101号,2007.4.24.]。

インフルエンザ治療薬「タミフル」を巡り、厚生労働省は25日、服用後に異常行動を起こしたことが判明した患者は58人増え、186人になったと発表した。副作用が疑われる患者も189人増の1268人となった。同省では今月4日、2001年の販売開始から先月2001年の販売開始から先月20日迄の副作用情報を公表。今回は、今月17日までの情報を加えた。副作用が疑われる1,268人のうち死者は70人。異常行動による死者は前回と同じ8人。異常行動をとった186人を年代別に見ると、10代が96人(51.6%)、10歳未満が53人(28.5%)。異常行動のうち転落・飛び降り事故は1人増えて26人(死亡6人)となった。また、同省が先月20日、10代について原則使用中止とする措置をとった後に発生した副作用の疑われる事例は30人分。10代も1人含まれていたが、タミフルが処方されたのは、措置前日の同19日だったという[読売新聞,第47103号,2007.4.26.]。

インフルエンザ治療薬「タミフル」と異常行動との関連について、小児科医ら専門家が議論するシンポジウム(日本薬剤疫学会主催)が20日、東京都内で開かれ、タミフル服用と異常行動との因果関係について一致した結論は出ず、議論は平行線をたどった。シンポジウムでは厚生労働省研究班の主任研究者を務めた横田俊平・横浜市立大教授が、統計学的にタミフル服用と異常行動との関連は薄く、服用により肺炎の発症は3分の1になったと強調。一方、NPO法人医薬ビジランスセンターの浜六郎医師は、データの解釈の仕方に異論を唱え、「初回服用後の異常行動の発生率は明らかに高い」と述べ、タミフルが異常行動の原因だとの持論を主張した。また、小児発達医学が専門の水口雅・東大教授が、タミフルを3日連続で服用し、3回とも異常行動が見られたという6歳女児の例を報告、タミフル服用と異常行動との関係が疑われる例として注目された[読売新聞,第47128号,2007.5.21.]。

インフルエンザ治療薬「タミフル」の服用後に異常行動を起こした患者は、先月31日現在で、新たに12人増えて211人にのぼることが、16日開かれた厚生労働省の薬事・食品衛生審議会安全対策調査会で報告された。同省は、タミフルの販売が始まった2001年以降の副作用が疑われる事例を集計。1377人のうち、死者は71人で、異常行動による死者は8人、突然死は12人だった。異常行動のうち、「転落・飛び降り」は、20歳代の男性が2004年、自宅のあるマンションの6階から飛び降りた事例が新たに判明し、27人(うち死亡6人)となった。一方、別のインフルエンザ治療薬「塩酸アマンタジン」服用後に異常行動を起こした事例は、新たな報告も含めて7人(うち死亡2人)になった。この日の調査会では、タミフルの被害を訴える人達の団体や薬害を追求する民間団体、タミフル輸入販売元の中外製薬などの関係者、大学教授らが意見陳述した。異常行動の原因はインフルエンザ脳症との見方もあるが、奥西秀樹・島根大教授は、服用したタミフルが脳に入り、中枢神経系を抑制する可能性を指摘。中外製薬の横山俊二・医薬品安全性ユニット長は、インフルエンザに伴う症状を詳細に分析するため、大規模疫学調査の必要性を訴えた[読売新聞,第47155号,2007.6.17.]。

タミフル服用患者の異常行動に関する新聞報道を見る限り、タミフルとの間に、何らかの因果関係があるのではないかと疑われる。一方で、インフルエンザ感染に由来する異常行動も見られるということであれば、異常行動の原因をタミフルのみに絞り込むことには些か無理があるのではないか。しかし何れにしろ医薬品には副作用が付きものである。副作用を上手くなだめながら使用するより仕方がない。

早々と『タミフル薬害』と題する本が出版されているが、『薬害』という言葉の意味はもっと厳密に規定して使用すべきだ。『副作用=薬害』というのでは使用する薬が無くなってしまう。

                           [2010.10.31.]