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『脳酸素欠乏症』

木曜日, 3月 17th, 2011

   魍魎亭主人

東京都の石原慎太郎知事(78)は、3月11日(金曜日)に発生した“東北地方太平洋沖地震(気象庁)”[別名:東北関東大震災(NHH)、東日本大震災・東日本巨大地震(mass media)]について14日『日本人のアイデンティティーは我欲になった。政治もポピュリズムでやっている。津波を上手く利用して、我欲を1回洗い落とす必要がある。積年たまった日本人の心のアカを。これはやっぱり天罰だとおもう。被災者の方々はかわいそうですよ』との発言をしたという[読売新聞,第48518号,2011.3.15.]。

流石に15日には前言を取り消し、謝罪したと言うが、彼は単なる政治家というのではなく、物書きである。将来どれほどの作品が評価に耐えうるかは知らないが作家である。作家である以上、一度吐きだした言葉を呑み込むことは出来ないというのは、十分に承知しているはずである。一体全体今回の被災者は、誰の代わりに罰を受けたと言っているのか。自分たちの行いが悪いから罰を受けたなどと言うのであればとんでもない話である。

東京都の知事とはいえ、少なくとも行政の長である。この歴史的な災害を目の当たりにして、都として出来る支援策を話すならいざ知らず、坊主の寝言みたいなことを話したとすれば、明らかに血の巡りが悪くなり、脳の酸素不足を起こしていると言わざるを得ない。彼も既に78歳である。最早終わりと腹を括っていただけに、滑ったのだと思われるが、高齢であるが故の失語とも考えられる。四選批判もなんのその再度都知事選に打って出ると言うが、任期中に80歳を超える。傍の迷惑を考えれば、引退するという決断こそが求められるのではないか。

出ないでないという親父を息子の自民党石原伸晃幹事長が懸命に口説いていたようであるが、任期途中で倒れるかもしれない親父を引っ張り出した息子の常識を疑わざるを得ない。勿論、公党の幹事長が、任期途中で倒れるかもしれない高齢者を、首都東京の首長として引っ張り出すことの非常識さは論外である。今、東北関東大震災の被害の実態が、日々報道されている。更には東京にも電力を送っている福島第一原発の事故が酷さを増している。この災害に対応する各県の知事諸氏の激務を考えると、高齢者を首長にすることは避けなければならない。

当人は物書きである。作家なら作家らしい判断をすべきではないか。それとも最早作家ではないということなのだろうか。

       (2011.3.16.)