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『写楽に惹かれて』

木曜日, 4月 15th, 2010

鬼城竜生

 8月14日(金曜日)特別展「写楽 幻の肉筆画展」の惹句に誘われて、江戸東京博物館に出かけた。65歳以上は割引だということで、常設展240円・特別展520円を払って入館した。

日本・ギリシャ修好110周年記念特別展

「写楽 幻の肉筆画」

ギリシャに眠る日本美術?マノスコレクションより

 今回はグレゴリオ・マノスのコレクションから選んで展示されたものである。

 「グレゴリオ・マノスコレクションとは、19世紀末から20世紀初頭に架けて、ヨーロッパに赴任したギリシャ大使、グレゴリオス・マノスが、ジャポニスムに沸くパリやウィーンで一万点以上のアジア美術を購入した。彼はギリシャに帰国後、同国政府にコレクションを全て寄贈してしまった。作品はコルフ島にあった元イギリス総督府の建物で公開されることになり、これが現在のコルフ・アジア美術館になったとされている。

 マノスの死後、コレクションは1世紀以上誰の目にも触れることなく眠っていたが、2008年7月、大々的な調査が行われ、東洲斎写楽の肉筆扇面画が発見された。本作品は、写楽が版画での活動を終えた後に描かれたもので、謎の絵師写楽の実像に迫る大きな一歩となった。写楽の作品と断定された肉筆画が、一般に公開されるのは世界で初めてのことであると紹介されていた。

 役者絵の版画で一世を風靡した写楽が、浮世絵界から姿を消したのは寛政七年(1795年)一月とされているが、この扇面画は同年五月に河原崎座にて上演された『仮名手本忠臣蔵』の舞台に取材したものだとされている。消息を消してから四ヶ月経って描かれたものとされている。元は扇に張られていたものとされているが、何時頃からか剥がされて大切に保存されていたとされる。

 処で猫好きの先輩がいる。そこでpostcardになっている浮世絵を探してお送りしていたが、さほど無いというのが印象だった。しかし、どうやらそれは勘違いで、猫の描かれている浮世絵で、postcardになっているものが少ないと云うことで、猫の描かれている浮世絵が少ないわけではないようである。最も浮世絵全体に占める割合からすれば、絶対数は少ないと思われるが。

 事実、江戸東京博物館の常設展示室5階、第2企画展示室では、『江戸東京ねこづくし』という企画展をやっていたが、何と案内のパンフレットは湯屋で湯に入る猫の集団図で、江戸時代の湯屋の二階は男の世界の筈が、この絵では女(猫)が湯屋の二階に上がる姿が描かれているが、これが猫だから江戸時代人にも違和感成しに受け入れられたのかもしれない。

 更に浮世絵師歌川邦芳は、無類の猫好きで、懐には何時も二?三匹の猫を入れており、飼い猫が死ぬと本所の回向院に葬り、家には猫の位牌や過去帳が揃っていたと云われているが、ほんとうかいな。また、弟子には画業の第一歩として猫の写生をさせたと云うほど徹底していたと云われているが、弟子の芳藤、芳年、芳虎等、国芳の弟子には猫を好んで描く絵師が多いとする報告がされている。

 しかし、浮世絵の世界で、猫の絵を描くのが得意な画家がいたということであれば、猫好きの多い現代、postcardにすれば喜んで買う人がいると思うが、まだ、著作権の問題があり、簡単に行かないということであろうか。

 何れにしろ購入したpostcardは、片っ端から使って、取って置くと云うことはしないので、猫の浮世絵は現在一枚もないが、受け取った方は、大切にアルバムに作っているということなので、以て瞑すべきということかもしれない。

 本日は歩くのが目的ではなかったが、総歩行数10,113歩である。

(2009.9.26.)