トップページ»

「再生研の中心人物」

火曜日, 8月 26th, 2014

       魍魎亭主人

理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長が、2014年8月5日に自死した。

笹井氏は、『神経系の初期発生の遺伝子・細胞レベルの研究者として知られ、世界で初めてES細胞による網膜の分化誘導と立体的網膜の生成に成功。更にES細胞から視床下部前駆細胞の分化誘導、脳下垂体の立体的な形成にも成功した優秀な科学者として内外で高い評価を受けていた研究者であるとされている。

STAP細胞の論文では、主要著者の一人で、小保方晴子氏の発表記者会見では、STAP細胞の存在について、確信的に話していた。しかし、STAP細胞の発生は奇跡的な事態だったと見えて、発表された論文の瑕疵が次々に指摘され始めた。更に悪いことに論文の中に丸ごとコピーした部分があるとの指摘がされ、写真が違うの何が違うのとの指摘が次々にされ、STAP細胞そのものの存在まで否定される始末になった。

笹井氏にすれば、この分野での第一人者で有り、論文の共同発表者として論文内容に立ち入って後ろ指を指されるようなことは、耐えがたかったと云うことだろう。更に理化学研究所は、国策に依拠した研究所として、体制の変更が求められており、重圧は相当のものだったのではないだろうか。

いずれにしろ小保方氏は笹井氏の望み通り、STAP細胞の存在を証明することに全力を挙げることしかない。それが可能であれば、この無為の騒ぎを終結することが出来るが、もしそれが未完で終わるならば、この騒ぎは何だったのだと云うことになり、我が国にとって重要な頭脳を失ったという負の遺産しか残らないことになる。

        (2014.8.8.)