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『漁夫の利』

金曜日, 8月 1st, 2014

                   魍魎亭主人

日本ジェネリック製薬協会(会長・澤井弘行)は、2112年度の薬価制度改革で、長期収載品薬価の追加引き上げの対象に、後発品も含まれるという厚生労働省の対応に、断固反対を表明しているという。また、内用薬で10品目以上の参入が見られた場合、後発品の薬価が先発品の六掛けに引き下げられるという話から、中堅以下の後発品メーカーは、原価率が60%を超えており、設備投資などで多くの資金を要するため、これ以上の引き下げがあれば、安定供給は出来なくなると発言しているようである[リスファックス,第5987号,平23.12.20.]。

この御意見も端から聞いているとおかしな話で、中堅以下の後発品メーカーでは、原価率が60%を超えていると云うが、それは薬価制度とは全く関係のない話で、企業救済のために医療費を配分していいなどと云う話はどこにもない。何で国民の納付した保険料あるいは税金を使って後発品企業を救済しなければならないのか。企業経営者としては甘え以外の何者でもない。

後発品が製造できなければ製造できないでかまわない。第一現在の後発品使用は、後発品企業の努力によって、製品が流動化したわけではなく、国の強引な政策によって、流動化したに過ぎない。どさくさ紛れに甘い汁を吸いたいと考える企業まで救わなければならない義理は国民にはないのではないか。

厚労省は後発品の使用目標30%が達成できないとして、後発品使用で期待される医療費の抑制を達成不能分を長期収載品薬価の切り下げで補填したいと考えているようであるが、長期収載品薬価の薬価を切り下げすぎると後発品の利用が減るとして、後発品も薬価切り下げの仲間に入れると云うことのようである。しかし、これも判らない話で、後発品の初発薬価が先発品の7掛けに設定されるということ自体が高すぎる設定ではないのかと申し上げたい。後発品を七掛けにするなどと云う価格の高止まりに維持する必要はないと考えるのである。

もし後発品の薬価を高止まりにするというなら、長期収載品の薬価をサッサと7掛けにしてしまえばいいのではないか。そうすれば後発品を無駄に造ることもなく、後発品の使用を30%等という目標設定を立てることもなく、医療費の抑制も可能になるのではないか。第一、未だにゾロという名前の時代の残渣を引き摺り、同一原料で10~20の商品が販売され、酷い場合には30を超える商品が発売されると云う状況になる。

しかし、後発品の数が多ければ多いほど、発売された全ての後発品が使われる訳ではない。売れない後発品は自ら価格を下げ、価格競争で製品を販売しようとする。それなら最初から後発品の薬価は5割程度に設置し、製品数も抑制する。更に後発品推奨のために、医師、調剤薬局に付けている報奨金みたいな手当は廃止する。そのことで患者の負担が減れば、黙っていても患者は、後発品を希望する様になるといえる。

                (2014.2.27.)