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「想い出すこと」

水曜日, 10月 30th, 2013

            魍魎亭主人

MRディスクロージャー委員会の方が『院内勉強会に弁当は必要?』(Yakugyo Jiho,No.100,2013.5.25.)と題する原稿を書かれていた。

過去の経験から云えば、院内勉強会に弁当を付けたがるのは企業の方である。

「勉強会をやらせて下さい」
「いいですよ。但し、学術の方に来て頂いて話をして頂くと云うことで御願いできますか」
「解りました。日程の調整をします。所でお弁当は何人前用意すればいいでしょうか」
「弁当は要りません」
「しかし、仕事が終わってからですから、参加する先生もお腹が空かれると思いますので」
「うちの連中は食事が遅いのは慣れていますし、もし間に合わなければ何か口に入れてきますからご心配なく」
「それは困ります。予算が付いていますので、用意させて下さい」
「いや必要ないですよ。弁当のために勉強会やる訳ではないですから。しかもわざわざ学術の担当者に来て頂くのですから、それだけで十分貴方の誠意は読み取れますから」
「いやそれじゃ困るんですけど。うちは結構佳い弁当を出せるので」
「弁当は結構です。どうしても何か出したいというのであれば、缶コーヒーでも出して下さい。但し、1人1本で余分な数はお持ちにならないように」

当時、院内の勉強会を申し込まれる度にこの様な遣り取りを繰り返していた。新規に採用した薬についての知識を得ることは、病院薬剤師として必要なことであり、当然なことである。しかし、勉強会と云うことであれば、MRの話でお茶を濁されては困る。やはり学術の担当者に来て頂いて、専門的な立場から話をして頂きたいし、こちらの質問に答えて頂けないのでは、勉強会の意味がない。

また、勉強会は業務の範囲内と云うことであり、特別に食事の用意をして頂く必要はない。まして缶麦酒を用意させて頂きますなどというのは余計なお世話なのである。前記の記事は、病院薬局側が、弁当を付けることを強要し、美味い弁当を付けることを強要し、あまつさえ弁当を貰うと会場から消える等という事例をお書きになっていたが、そういう仕来りを導入したのは企業側ではないかと思うが、如何であろうか。

在職中我が施設では、この方式で勉強会の運営を続けてきた。弁当を付けないことで、勉強会を拒否する薬剤師がいるとすれば、専門職能としての向上心がないということになる。晩飯は家に帰れば食えるのである。家に帰るまで持たないというのであれば、駅蕎麦でも手繰ればいい。企業との関係で云えば、身綺麗にしておくことが何より重要である。

       (2013.6.27.)