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『後発医薬品』

木曜日, 4月 26th, 2012

            魍魎亭主人

後発医薬品を推奨する厚労省のいい分は、先発品に比べて値段が安いということである。

しかるに今回、薬価を精査している段階で、8成分9品目が先発品を上回る見込みであるとの報道があった[RISFAX,第5528号,2022.2.4]。所謂薬価の『逆転現象』が起こった原因は、商品に付加価値を付けようとする企業努力?、その結果、製剤的な工夫がされ、それを評価した結果だと思われるが、先発品の剤形と異なる剤形の製剤を、後発品として扱うこと自体に問題があるのではないか。剤形が異なれば、当然、吸収・排泄に差が生ずることが考えられるし、そのことによって体内動態が異なれば、効果は問題ないとしても副作用の発生状況まで全く同じとは云えないのではないか。

あるいはまた、見方を変えれば、たかが製剤上の工夫に、特に高い薬価を付けることの必要性があるのかどうかということである。つまり単なる製剤上の工夫ということにして、先発品を越える薬価は付けないという方策も考えられる。少なくとも後発品は先発品との比較で安くなければいけない訳で、僅か9品目とはいえ、先発品より高い後発品があったのでは、国民に嘘をいったことになる。

更に患者の立場からいえば、後発品を推奨したいために、医療機関での取扱に、色々点数を附加することは、その分患者の個人負担が増えることになるため、有り難くも何ともないということになる。兎に角、後発品は安いということが売りで、TVの宣伝等も専ら安いを振りかざしている。

ところで厚労省は、苦心惨憺、何でこれほどに後発品を推奨しているのか。医療費の総枠抑制のため、少しでも安くあげられるものは安くあげたいという、御国の政策ということだろう。それならこの際、製薬企業に協力を仰ぎ、特許期限を過ぎた医薬品については、その時点で薬価の7掛けあるいは6掛けという、後発品並みの切り下げをさせて戴いたらどうか。

何れにしろ後発品が出れば売り上げは下がる。それならば薬価を切り下げてでも、使用の継続を保証された方がいいのではないか。更にいわせて戴ければ、無闇に後発品の製造がされているが、それはある意味、資源の無駄遣いに繋がるのではないか。

          (2012.4.4.)