「ツルドクダミについて」

KW:薬名検索・ツルドクダミ・漢方薬・カシュウ・何首烏・タデ科・赤斂・セキレン・地精・首烏・蔓どくだみ

 

Q:ツルドクダミについて

 

A:次の通り報告されている。

カシュウ(何首烏)[日華子諸家本草]。

[異名]地精[何首烏録]、赤斂(セキレン)[理傷続断秘方]、首烏[経験方]、陳知白[開宝本草]、紅内消[外科精要]、馬肝石[本草綱目]、黄花烏根・小独根[雲南中草薬選]。

[基原] タデ科タデ属の植物。何首烏(和名:ツルドクダミ)の塊根。

[原植物]ツルドクダミ(葉がどくだみ様で、つる性のため命名)、Polygonum multiflorum Thunb.、中国原産。享保5年(1720)に渡来。塊根を漢方薬用に栽培。現在は逸出し野生化している。

野苗・交茎・交藤・夜合・桃柳藤[何首烏録]、赤葛・九真藤[斗門方]、芮草(ゼイソウ)・蛇草[漢英韻府]、伸頭草、多花蓼(タカリョウ)、紫烏藤とも。多年生つる性草本。根は細長く、末端は肥大した塊根。表面は紅褐色ないし暗褐色。茎の部分はやや木質で中空。葉は互生し、長柄があり、葉身は狭卵形か心臓型。長さ4-8cm、幅2.5-5cm。先端は漸先、基部は心臓型か矢尻型。直径2mmの小さな花が多数密集し、大きな円錐花序をなす。痩果は楕円形、黒色で光沢がある。開花期は10月、結実期は11月。
本植物のつる茎(夜交藤)、葉(何首烏葉)も薬用にされる。無毒。

[薬材]何首烏(赤首烏)の乾燥した塊根は、紡錘形か塊状を呈する。生首烏と製首烏がある。生首烏=炮製(修治)何首烏。

[成分]根と根茎には緩下作用を持つアントラキノン誘導体を含む。その主成分はクリソファノール(chrysophanol)、とエモジン(emodin)で、次にレイン(rhein)、痕跡量のフィスシン(physcin)とクリソファノール-アントロン(chrysophanic acid anthrone)等(炙ればレインはなくなる)。更にβ-sitosterol、スチルペン配糖体、その他、澱粉45.2%、粗脂肪3.1%、レシチン3.7%等。

[薬効]髪が早く白くなるもの、貧血による眩暈、腰、膝の弱まり、筋骨のだるい痛み、遺精、大量の子宮出血、崩帯(量の多い帯下) 、慢性マラリア、慢性下痢症、慢性肝炎、癰腫(できもの)、瘰癧(頚部リンパ節結核)、腸風、痔疾を治す。

[薬理](1)抗老化作用、(2)副腎皮質ホルモン作用、(3)免疫系増強作用[①白血球の増加、マクロファージの貪食能増強、②インターロイキン2の産生増強、③網内系細胞活性化作用]、(4)降高脂血症作用、(5)腸蠕動運動促進、潤腸瀉下作用(アントラキノン誘導体の作用)、(6)肝庇護作用、(7)抗疲労・強心作用、(8)抗菌作用(ヒト型結核菌、フレキシナー赤痢菌に対しin vitroで抑制作用)。その他、神経の時値(chronaxie)を急減し、神経の興奮を促進、皮膚と筋肉の時値を増加、麻痺させる等の報告が見られる。

処方例:鬚髪を黒くする。筋骨を壮にする。精気を固める。但し、本品の摂取が精やスタミナを付けるという話は、ほぼまやかしである。

禁忌:軟便・湿痰のある者。猪肉・猪血、羊肉・羊血、鉄、葡萄、葱、大蒜は併用禁忌。

副作用:下痢、腹部鈍痛。

 

1)上海科学技術出版社・編:中薬大辞典 第一巻;小学館,1998
2)牧野富太郎:原色牧野日本植物図鑑 コンパクト版I;北隆館,2003
3)伊沢凡人・他:カラー版 薬草図鑑;家の光協会,2003
4)曽野維喜:続東西医学 臨床漢方処方学-優秀処方の組み立て方・東西薬物の併用;南山堂,1996

 

   [011.1.POL:2008.8.31.古泉秀夫]