『抗リウマチ薬とsupplementの相互作用』

KW:相互作用・抗リウマチ薬・サプリメント・サラゾスルファピリジン・salazosufapyridine・スルファサラジン・sulfasalazine・板藍根・バンランコン・板藍茶

 

Q:現在リウマチの診断を受け、「アザルフィジン」を服用しているが、友人から『板藍茶』の飲用を勧められた。何か問題があるか。

A:アザルフィジンEN(ファイザー-参天)は1錠中にsalazosufapyridine(JAN) 250mg・500mgを含有する腸溶錠である。
*sulfasalazine(INN,USAN)。

本剤は抗炎症作用を有する5-アミノサリチル酸と抗菌作用を有するスルファピリジンを結合組織への親和性を高める目的でアゾ結合させた化合物である。本剤の特徴については、

1.投与後1-2ヵ月の比較的早期から効果が発現する。
2.抗炎症作用を有する。
3.免疫グロブリン等の免疫パラメータを改善する。
4.関節リウマチの活動性の強弱にかかわらず、効果が期待できる。

等の報告がされている。

本剤の作用機序について、次の報告がみられる。

『T細胞、マクロファージ等の免疫担当細胞に作用することにより、それらの細胞からのサイトカイン(IL-1、2及び6)産生を抑制し、関節リウマチ患者の異常な抗体産生を抑制する。更に、関節局所では滑膜細胞の活性化や炎症性細胞の浸潤等を抑制し、かつ多形核白血球の活性酸素産生も抑制する。これらの一連の作用により、関節リウマチ患者の免疫異常を是正し、関節における炎症全般を抑制し、抗リウマチ作用を示すものと考えられる。』

最高血中濃度到達時間

健康成人男性(n=6)に本品500mgを食後単回投与した時、血清中濃度は約7.76時間後に最高値に達した。空腹時投与の場合(約5.69時間)と遅延が見られたが、t1/2及びAUCには有意差が見られず、食事による影響はないものと考えられた。

通常用量での血中濃度
健康成人における単回投与時の血中濃度(500mg単回投与時の薬物動態パラメータ)

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蛋白結合率:約99%

なお、代謝に関与する酵素(CYP450等)の分子種については、『資料無』と報告されている。

板藍根はアブラナ科の植物。菘藍(ショウラン、和名:ホソバタイセイ)と草大青(ソウタイセイ、和名:タイセイ)の根、又はキツネノゴマ科の植物、馬藍(バラン、和名:琉球葵)の根茎及び根。
板藍根という名称で呼ばれるherbの原植物として上記の3種類の植物が報告されている。

菘藍根:インドキシル-β-グリコシド、β-シトステロール、イサチン、板藍根結晶B、板藍根結晶C、板藍根結晶Dが含まれる。また、植物性蛋白、樹脂状物、糖類を含む。根に含まれるアミノ酸は、アルギニン、プロリン、グルタミン酸、チロシン、γ-アラニン、バリン、ロイシンである。また、シナルビンを含み、グラム陽性及び陰性菌に対する抑菌物質とカイネチンも含んでいる。

板藍根については、細菌及びウイルスの繁殖を抑制する作用、解熱作用、抗炎症作用及び抗がん作用があるといわれている。但し本品に対する安全性については、十分な情報は得られていない。また医薬品との相互作用についても明らかにされていない。

従って、アザルフィジンEN服用中の者が『板藍茶』を飲用することの可否について不可とする根拠は無いが、主治医に説明することが重要である。診察時に検査dataを判断する際、板藍茶の飲用を参照することによって、何らかの変化が見られた場合、医師の判断を誤らせないためにも必要である。

 

1)アザルフィジンEN錠500mgIF,2007.6.
2)奥村勝彦・監:一目でわかる医薬品と飲食物・サプリメントの相互作用とマネジメント;フジメディカル出版,2007
3)高久史麿・他監修:治療薬マニュアル 2008;医学書院,2008
4)古泉秀夫・編著:わかるサプリメント健康食品Q&A;じほう,2003
5)田中平三・他監訳:健康食品のすべて-ナチュラルメディシン・データベース;同文書院,2006

 

  [015.2.SAL:2008.11.13.古泉秀夫]