「ニキビ及び顔の湿疹の場合の化粧水・乳液の使用について」

 

KW:薬物療法・ニキビ・座瘡・湿疹・面皰・Propionibacterium acnes・化粧水・乳液

 

Q:ニキビ及び顔の湿疹の治療中に化粧水・乳液の使用の可否について

 

A:現在、皮膚科医に受診中であるなら、これらの判断あるいは指示を求めるのは、主治医に対してであって、薬剤師の対応する範囲を超えている。従って、患者から相談された場合、主治医の指示等を患者に確認する。

現在、患者の治療中であるニキビ・顔の湿疹の原因は、何か?。使用中の化粧水・乳液が原因であれば、その化粧水・乳液を継続して使用する限り、ニキビ・顔の湿疹の治療は困難であり、むしろ悪化させることが考えられる。

従って、ニキビ・顔の湿疹の治療と化粧水・乳液使用の関係については、次の点に注意が必要であると考える。

?湿疹の原因として使用中の化粧水・乳液は関係がないのかどうか。

?湿疹はアレルギー性のものか、感染性のものか。

?湿疹の範囲は部分的なのか広範囲なのか。

顔の湿疹の原因が、現在使用中の化粧水・乳液にあるとすれば、使用は中止することが原則であり、湿疹の治療中は医師の指示に従い、医師に処方された治療用クリーム剤あるいは外用水剤等を塗布する。その際、ぬるま湯で洗顔して塗布することの是非についても、主治医の指示を求めるべきである。湿疹の範囲が広範な場合、同様の対応を考える。原則的に治療を優先する。

ニキビ(座瘡)は思春期の男女の顔面、胸部、背部に好発する面皰(コメド)を初発疹とする、毛孔一致性の慢性炎症性疾患である。男性ホルモンにより皮脂分泌が亢進し、毛漏斗部の角化異常により毛包管が閉塞する。面皰内でPropionibacterium acnesが増殖し、炎症が惹起され、膿疱、硬結、膿腫が出現する。ニキビ発現時の対応策として、次の記載が見られる。

?石鹸による洗顔に努める。

?化粧は油性のものを避け、乳液タイプを使用する。

?十分な睡眠をとり、中性脂肪の少ない食事の摂取に努める。

?便通に注意する。

?ストレスを避ける。

ニキビの状態により塗布剤・経口剤等の治療が実施される。

 

1)中林康青:皮膚外用療法実践マニュアル;文光堂,1991
2)山口 徹・他総編集:今日の治療指針;医学書院,2006

     [035.1.ACN:2007.10.9.古泉秀夫]