「スコポリン・スコポレチンについて」

KW:薬名検索・スコポリン・scopolin・スコポレチン・scopoletin・オキシクマリン化合物・クマリン配糖体・ハシリドコロ

 

Q:スコポリン及びスコポレチンの関連性と薬理作用について

A:次の通り報告されている。

薬物名 スコポリン(scopolin) スコポレチン(scopoletin)
分子式 C16H18O9 =354.30 C10H8O4 =192.19
性状 無色針状晶、融点:218℃。水、エタノールに可溶、クロロホルム、エーテルに難溶。スコピンの異性体。 無色針状晶又は柱状晶(クロロホルム又は酢酸)、融点:204℃。水、エーテル、冷アルコールに難溶。酢酸、アルコールに熱時易溶、クロロホルムに可溶、二硫化炭素、ベンゼンに不溶。アルコール溶液は青色の蛍光を発し、FeCl3により緑色を呈する。フェーリング液及びアンモニア性銀液を還元する。
基原

*オキシクマリン化合物であるスコポレチンの配糖体。
*クマリン配糖体の一種で、スコポレチンの7-glycoside。ハシリドコロ(Scopolia japonicaやScopolia atropoides)の根茎に含まれる。
*スコポラミン(scopolamine)がアルカリ又は酸により加水分解を受ける時に生じる分解産物である。スコポラミンはスコピンとトロパ酸がエステル結合したものであるが、スコピンは分子中に不安定なエポキシ環を持つので、酸又はアルカリを用いた加水分解条件では開環し、新たに第二級ヒドロキシル基を生じるとともにトロパ酸とエステル結合していたヒドロキシル基がエーテル環を形成してスコポリンとなる。
オキシクマリン化合物。

*オキシクマリン化合物。
*クマリンの6-メトキシ-7-ヒドロキシ誘導体。配糖体(glycoside)スコポリンとしてハシリドコロ(Scopolia japonica)等の根茎に含まれる。
*1993年ハワイ大学でノニ(和名:八重山青木)の果実から抽出された物質である。

薬理作用

[1]副交感神経遮断作用
[2]中枢神経刺激作用

[1]血圧降下作用、[2]抗菌作用、[3]鎮痛作用、[4]うつ症・睡眠障害の改善。
scopoletinは、セロトニンの神経刺激伝達物質の合成に関与し、セロトニンの欠乏はアルツハイマー症等の原因になるとされている。

 

1)志田正二・代表編:化学辞典;森北出版,1999
2)今堀和友・他監修:生化学辞典第3版;東京化学同人,1998
3)奥田拓道・監修:健康・栄養食品事典-機能性食品・特定保健用食品-;東洋医学舎,2004-2005
4)第十四改正日本薬局方解説書;廣川書店,2001
5)西   勝英・監修:薬・毒物中毒救急マニュアル 改訂7版;医薬ジャーナル,2005

                                                  [011.1.SCO:2007.2.19.古泉秀夫]