グリコサミノグリカンについて

KW:薬 名検索・グリコサミノグリカン・glycosaminoglycan・酸性ムコ多糖・アミノ糖・ヒアルロン酸・hyaluronic acid・ケラタン硫酸・keratan sulfate・へパラン硫酸・heparan sulfate・ヘパリン・heparin・コンドロイチン・chondroitin・コンドロイチン硫酸・chondroitine sulfate・デルマタン硫酸・dermatan sulfate

 

Q:グリコサミノグリカンとはどの様なものか

A:グリコサミノグリカン(glycosaminoglycan)とは、アミノ糖を含む一群の酸性多糖である。あるいは酸性ムコ多糖ともいう。遊離状態又は蛋白質と結合して、結合組織に存在する。構造上はアミノ糖(グルコサミン、ガラクトサミン)とウロン酸(グルクロン酸など)あるいはガラクトースからなる二糖類の繰返し長鎖構造をもち、硫酸化されている場合もある。ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸などがよく知られている。

 

glycosaminoglycan 分布 概要
ヒアルロ ン酸(hyaluronic acid)

*硝子 体、関節液、臍帯*皮膚、健、筋肉、軟骨、血管、脳など広範に分布。

*1935年眼の硝子体成分として発見された glycosaminoglycanの一種で、D-N-アセチルグルコサミンとD-グルクロン酸が交互に結合して出来た直鎖状の高分子多糖体。

ケラタン硫酸
(keratan sulfate)
*軟骨、椎間板、角膜、髄核 *ケラト硫酸ともいう。等モルのN-アセチルグルコサミン6-硫酸とガラク トースから成る多糖で、ウロン酸を含まない点で他のgly-cosaminoglycanと異なる。

へパラン 硫酸(heparan sulfate)

*細胞表 面、基底膜*哺乳類の肺、肝、腎、脾、脳、大動脈から分離

*へパリチン硫酸。古くはヘパリンモノ硫酸ともいわれた。D-グルコサミン、D-グルクロン酸、L-イズロン酸を構成糖とする多糖のN-アセチル、N-硫酸及びO -硫酸置換体。*哺乳類の肺、肝、腎、脾、脳、大動脈から分離されたが、蛋白質と結合したプロテオグリカンの形で細胞膜の普遍的成分として広く分布する。

ヘパリン(heparin) *小腸、 筋肉、肺、脾、腱、肝、肥満細胞

D-グルコサミン、D-グルクロン酸、L-イズロン酸から成る多糖のN-硫 酸、N-アセチル及びO-硫酸置換体。ムコ多糖のうちでは硫酸基を最も多く含み、二糖当たり3分子の硫酸基を持つものがある。

コンドロイチン(chondroitin) *角膜 *牛の眼 の角膜、スルメイカの皮から単離されているほか、cho-ndroitine sulfatを脱硫酸すると得られるglycosaminoglycanでN-アセチルコンドロシンのポリマーである。
コンドロイチン硫酸(chondroitine sulfate)

*皮膚、血管壁、軟骨、靱帯、関節、眼球、角膜、粘液、各臓器。*血管壁、腱など広く結合組織に含有。

代表的な硫酸化ムコ多糖類(glycosaminoglycan)。 chondroitine sulfateにはA、B、Cの3種類があり、軟骨中にはAとCが、皮膚にはBがある。AとCは多糖鎖の骨格構造がchondroitinと同様で、通常は二糖単位当たりO-硫酸を1mol含む。硫酸基がN-アセチル-D-ガラクトサミンの4位に結合しているのがchondroitine sulfate A、6位に結合しているのがchondroitine sulfate C。
デルマタ ン硫酸(dermatan sulfate) *皮膚、 心臓弁、動脈壁、腱、鞏膜の他、肺、脳、胃粘膜、尿にも見いだされる。 chondroitine sulfate B、β-ヘパリン。N-アセチル-D-ガラクトサミン4-硫酸とL-イズロン酸から成る二糖の繰返し構造が主であるが、少量のD-グルクロン酸も含まれる。

glycosaminoglycan のうち機能性素材として注目されているのは、以下のものである。

  • ヒアルロン酸(hyaluronic acid):ヒトを始め脊椎動物の組織中に広く存在しているが、特に皮膚、関節、眼に多い。皮膚では肌の乾燥を防ぐ役割を、関節では関節液中で関節の円滑な動作を、眼では硝子体の緩衝作用や組織形状を維持する役割を果たしている。中国やフランスでは肌をみずみずしくする料理として鶏の鶏冠のスープが好んで食べられている。hyaluronic acidには1g当たり6000mLの水を保持する性質があり、生体の水分を保つ上で重要な役割を果たしているが、加齢と共に減少する。 hyaluronic acidはこれまで化粧品等に配合されてきたが、最近、飲むhyaluronic acidとしてsupplementが市販されている。
  • コンドロイチン硫酸(chondroitine sulfate):骨の形成、傷の治癒、感染防止(免疫体の産生)などの生理作用をもつ。加齢による欠乏により皮膚の保水性、潤滑性が失われ、老人に特徴的な老人性肌の原因となる。更にchondroitine sulfateは動脈硬化、解毒、代謝異常、腎疾患、難聴、炎症などへの薬理効果が明らかにされ、腎炎、ネフローゼ、リューマチ、神経痛、腰痛、五十肩、肩凝り、夜尿症、眼疾患、脱毛症を適応症とする医薬品に用いられている。その他鮫の軟骨を利用した健康食品が市販されている。

[011.1.GLY:2005.4.26.古泉秀夫]


  1. 今堀 和友・他監修:生化学辞典第3版;東京化学同人,1998
  2. 薬科 学大辞典 第2版;広川書店,1990
  3. 奥田 拓道・監修:健康・栄養食品事典;東洋医学舎,2004-2005