アガリクスについて

KW:健康食品・機能性食品・茸類・アガリクス・アガリクスブラゼイムリル・Agaricus blazei Marrill・カワリハラタケ・ヒメマツタケ・姫マツタケ

 

Q:アガリクスについて

A:学名アガリクス・ブラゼイ・ムリル(Agaricus blazei Marrill)と呼称される茸(キノコ)は、南米ブラジルを原産とするハラタケ属の茸である。

本品は担子菌類、同担子菌亜網-ハラタケ目-ハラタケ科- ハラタケ族-ハラタケ属に分類される茸で、分類学上の和名:カワリハラタケ、実用名:ヒメマツタケとして日本菌学会誌に掲載されているとされる。

『姫マツタケ(岩出101株)』には、免疫力を高めることで癌を抑制し、副作用を軽減する効果のあることが証明されている。

茸の抗癌作用は、茸の多糖体構 造にあることが解っている。多糖体とは、糖の集合した複合体であり、糖は炭水化物の最も単純化した形態である単糖である。

1980年に行われた第39回日本癌学会で三重大学医学部の研究グループが、『姫マツタケ(岩出101株)』の多糖体が、他の茸のよりも抗癌作用が優れていることを発表している。また姫マツタケの免疫力については、FDAにおいても認められ、1999年「免疫力の向上という性質を持った栄養補助食品」のカテゴリーに登録されているとされる。

アガリクス・ブラゼイ・ムリル(ヒメマツタケ)の抗癌作用は、その多糖体の構造にあるとされる。多糖体は茸の種類によっても異なり、採集地によっても多糖体の構造が異なるとされている。従って高い抗癌作用を持つのは『姫マツタケ(岩出101株)』であるとの報告もされている。

アガリクス・ブラゼイ・ムリルの抗癌作用は多糖体のβ-グルカン蛋白複合体などの成分が、マクロファージ等の免疫細胞を活性化して免疫力を高め、癌細胞を抑制する。姫マツタケの多糖体は1種類ではなく、抗癌作用を示す多糖体が複数あるとされる。

中性多糖 β-(1-6)Dグルカン、キシログルカン
酸性ヘテロ多糖 ガラクトグルカンのウロナイド
蛋白多糖 ペプチドグルカン
核酸成分 リボヌクレオチド・蛋白

姫マツタケから抽出したこれらの多糖体を、ザルコーマ180固形癌を移植したマウスに投与した比較試験の結果、癌抑制率が99%と最も高かったのはβ- (1-6)Dグルカンで、次いでβ-ガラクトグルカンが97%、核酸(RNA)が95%、β-グルカンFA-1-a-α が93%と4種類の多糖体が90%以上と高率であった。

対象 投与量 腫瘍完全消失 腫瘍阻止率
姫マツタケ(岩出101株) 10mg/kg/日×10日 28匹/32匹 93.6%
ツガサルノコシカケ(培養) 10mg/kg/日×10日 5匹/10匹 73.4%
クロサルノコシカケ 10mg/kg/日×10日

0匹/9匹

64.8%
ラッコタケ 10mg/kg/日×10日 3匹/10匹 76.9%
カワラタケ(培養) 10mg/kg/日×10日 6匹/8匹 88.7%

[伊藤均・他:抗腫瘍多糖;感染症,75(1984)より一部引用]

 

姫マツタケの多糖体中で最も優れた抗癌作用を示したβ-(1-6)Dグルカンの特徴として

  1. 分子量が小さい。現在抗癌剤として使用されている茸の多糖体として椎茸のレンチナン、スエヒロタケのシゾフィラン等は、いずれもβ-(1-3)D グルカンであるが、平均分子量が10万?50万と大きいため、消化管からの吸収が困難であり、注射剤としての投与が必要である。しかし、β-(1-6)D グルカンは平均分子量が5万以下と比較的小さい分子量である。
  2. 蛋白質と結合している蛋白質複合体であり、消化管からの吸収がしやすい。

以上の特徴からβ-(1-6)Dグルカンは、経口投与が可能であり、喫食あるいは浸煎剤としても抗癌作用を発揮する。その他、アガリクス・ブラゼイ・ムリル(ヒメマツタケ)の成分を栄養成分面から見ると、

  • ミネラル類:カリウム・マグネシウムが豊富
  • ビタミン類:ビタミンB2、エルゴステロール。
  • 不飽和脂肪酸:リノール酸を主体とする不飽和脂肪酸の含有量が高い

等の特徴を有しているとされ、不飽和脂肪酸はコレステロールを減らし、血栓防止効果があると報告されている。なお現在、『姫マツタケ(岩出101株)』は、各種癌に対する効果の他、高血圧、糖尿病、肝臓病、アレルギー疾患、エイズ等に対する効果に対する検討がされている。ただし、『アガリクス』は医薬品として取り扱われているわけではなく、あくまで健康食品としての取扱いである。従って、『アガリクス』の摂取は補助的なものとして考えるべきである。また、植物中の成分は、栽培地等により含有量が異なることが考えられるため、単に『アガリクス』というだけで全てに同一の食効が期待できるとは限らないため注意が必要である。更に現に治療中の者では、『アガリクス』摂取の可否について主治医に前もって相談することが必要である。

[015.9.AGA:2007.12.27.一部修正.古泉秀夫]


  1. 古泉秀夫・他編:改訂3版飲食物・嗜好品と医薬品の相互作用;薬業時報社,1998
  2. 伊藤 均・監修:だからガンは治る-最強のアガリクスは「姫マツタケ(岩出101株)」だった;現代書林,2001