ハナビラタケの効用について

KW:健康食品・ハナビラタケ・花弁茸・ Sparassis crispa・ Cauliflower Mushroom

 

Q:健康食品として市販されている『山珊瑚』の成分とされるハナビラタケについて

A:ハナビラタケについて、次の報告がされている。

 

和名:ハナビラタケ(花弁茸)。

ハナビラタケ科に属する食用茸で、世界中で1科1属2種が見いだされているとの報告がされている。そのうち我が国では1種のみが見いだされ、夏から秋口にかけて亜高山帯に自生しており、主に北海道から関東地方にかけて分布しているとされる。ツガ・モミ・マツ等の針葉樹の切り株や枯れた樹木等の根元によく見られるが、稀にブナやシイといった広葉樹にも見られるとされている。

学名:Sparassis crispa。

英名:Cauliflower Mushroom。

ハナビラタケは全体的に淡黄色又は白色で、柄の厚さ1mm程度で平たく幾つにも枝分かれしており、枝の先が花弁のように波打っているのが特徴であるとされている。1株の直径は20?40cm程度の半球状の塊で、高さ10?30cmに達するが、絶対数が少なく、天然物を手に入れるのは困難だとされている。

1996年埼玉県立熊谷農業高等学校福島隆一教諭らのグループが人工栽培に成功し、以後種々の検討が加えられてきた。

分析試験項目 含有量
水分 8.8g
蛋白質 6.9g
脂質 0.8g
繊維 6.3g
灰分 3.1g
糖質 74.1g
2.28mg
サイアミン(ビタミンB1) 1.04mg
リボフラビン(ビタミンB1) 1.63mg
ビタミンD 3,200IU
β-グルカン 43.6g

 

ハナビラタケ中に含まれるβ-グルカンは、β(1-3)D-glucanであるとされている。ハナビラタケの熱水抽出では461mg/25gのβ(1-3)D-glucanが抽出されたとされている。

glucanとは、D-glucoseを構成成分とする多糖で、グルコピラノース環生成によって生じる1位の炭素の不斉化により、αとβの結合様式のglucanが存在する。澱粉、グリコーゲンの主鎖はα1-4結合であり、これにα1-6結合で枝分かれ鎖がついている。セルロースはβ-1-4結合であり、褐藻中に含まれるラミナランは、β-1-3結合が主である。細菌のデキストランはα-1-6結合が主鎖となっている。

これらのglucanのうち抗癌作用があるのはβ(1-3)D-glucan で、各種茸中に含まれている。代表的な茸中のβ-glucanの含有量は、以下の通り報告されている。

  ハナビラタケ アガリスク マイタケ
β-glucan 43.6g 11.6g 18.1g

 

但し、β(1-3)D-glucanの作用は、直接癌細胞の増殖を抑制するわけではなく、マクロファージやキラーT細胞、実の細胞等を活性化させ、低下したヒトの免疫力を回復させ癌の増殖を抑制することが主体である。

従って、癌の化学療法を受けている患者が、ハナビラタケを喫食しようとする際には、主治医に相談することが必要であり、癌化学療法の補助的支援を期待するものとして考えることが必要である。

[015.4GLU:2000.7.5.古泉秀夫]


  1. 奥田拓道:健康・栄養食品事典;東洋医学舎,2000-2001
  2. 株式会社ミナヘルス配付資料
  3. 医学大辞典;南山堂,1992
  4. ハナビラタケパンフレット;ハナビラタケ・インフォメーション・サービス
    (0120-835-015)[株式会社アド・ステップ 〒150-0011 渋谷区東1-26-30 K.T.ビル4F ]