「ルチンについて」

KW:機能性成分・健康食品・ルチン・rutin・エンジュ・槐花・カイカ・ビタミンp・vitamin P・vitamin様物質・ビタミン様物質・血管補強薬

Q:ルチンを含有する生薬及びルチンの作用

A:ルチン(rutin)は、植物界に広く分布するクエルセチンの誘導体。淡黄色-淡緑黄色の結晶。水に難溶。C27H30O16=610.53。融点:192℃。フラボノール配糖体。血管補強薬。毛細血管の強化、血管の補強作用がある。脳出血、高血圧の予防、肺出血、紫斑病、網膜出血などに経口投与する。

[独]Rutin、[仏]rutine、[ラ]rutinum。

香料植物として有名なミカン科のヘンルーダ(Ruta graveolens)から最初に得られたが、後にマメ科のエンジュ(Sophora japonica)の花蕾(生薬名:槐花:カイカ)、タデ科のソバ(Fagopyrum esculentum)等からも単離され、天然に広く分布している。槐花のルチン含量は10-28%に達する。加水分解するとクエルセチン、L-ラムノース、D-グルコース各1分子を生じる。ラムノース(1-6)グルコースをルチノース(rutinose)という。主な生理活性は毛細血管収縮作用であり、古来より止血薬として用いられてきたが、その作用はそれほど強くなく一過性である。また毛細血管の抵抗力を高め、透過性の増大を抑制する作用(ビタミンP)を示す代表的化合物である。

ルチンはvitamin Cの研究中に発見されたビタミン様物質で、vitamin Pの一種である。ジャガイモの花、中国産の豆であるエンジュの葉・蕾・未熟果などに含まれ、食品中ではソバに特徴的な成分であるとされている。

1日摂取量として30mgとする報告がされており、ソバ一食分で十分摂取可能であるとされている。またルチンはvitamin Cの吸収を助け、vitamin Cの酸化を防御するとされている。

1)薬科学大辞典 第2版;広川書店,1990

2)今堀和友・他監修:生化学辞典 第3版;東京化学同人,1998

3)中村丁次・監修:最新版からだに効く-栄養成分バイブル;主婦と生活社,2001

[015.9.RUT:2005.5.14.古泉秀夫]