医療関連略号集

略 号 起 源 意 味
ADR adverse drug reaction [アドバース・ドラッグ・リアクション]。『副作用』。 副作用の定義については、まだ一定したものはなく、各国でかなり広い範囲で用いられている。厚生労働省の副作用調査対象としての定義は『医薬品の副作用とは、医薬品を通常の方法で使用した場合に、発現する人体に対して好ましからざる作用で、使用時に予期しえなかったもの、及びその他発現した人体に対して好ましからざる作用』 としている[石橋丸應:図説医療用語辞典;薬事新報社,1984]。
adverse reaction→[過量投与]、特異体質、過敏反応等を含めた作用(広義の副作用)。
side effecs→治療上好ましからざるものであるが、避けられない作用(狭義の副作用)。
ADE adverse drug events [アドバース・ドラッグ・エベント]。有害事象。有害事象は、自覚症状、臨床的な徴候・所見、臨床検査値の変動など多岐にわたって発現する可能性(不利益な薬の出来事)(1。
ADME absorption,distribution,metabolism(biotransformation),excretion [アブソープション・ディストリビューション・メタボリズム(バイオトランスフォーメイション)・エクスクレーション]。医科薬理学は人体と相互に作用する化学物質の科学である。その相互作用は薬力学・薬物動態学の二つに分類されるが、薬物動態学で研究する分野として『吸収・分布・代謝(体内変化)・排泄』の4項目があげられている。▼?吸収:経口投与された薬物は腸壁を通過しなければ血流には入れない。吸収過程は多くの因子によって影響されるが、通常は薬物の脂溶性に比例する。従って非イオン化分子は、イオン化されて水分子に囲まれている分子よりはるかに脂溶性で、吸収されやすい。薬物は大きな表面積をもつ小腸から主に吸収される(胃腸管から吸収された薬物は、門脈系に入り、ある薬物は肝を通過する際、著しく代謝される-初回通過効果)。▼?分布:薬物の体内分布は、薬物が循環(血流中)に達すれば起こる。t1/2は、血中濃度が元の値の半分に下がるに要する時間である。経口で容易に吸収されるほど十分に脂溶性である薬物は、速やかに体液区分に分布する。▼?代謝(体内変化):薬物代謝の主要器官は肝であるが、胃腸管、肺のような他の器官もかなりの代謝作用を示す。経口投与された薬物は通常、小腸で吸収され、門脈系に入り、肝で著しく代謝される。これは初回通過代謝と呼ばれる。これは肝代謝のみに限定されない。第I相反応:最もよく見られる反応は酸化である。比較的少ないが、他に還元、加水分解がある。第II相反応:通常、肝で起こり、薬物又は第I相代謝物と内因性物質との抱合を行う。生成抱合物は殆どの場合、活性が低下し、腎から排泄されやすい極性分子であるのが常である。▼?排泄:腎排泄-殆どの薬物の排泄は腎排泄である。薬物は糸球体濾過で出てくるが、脂溶性であれば腎尿細管の受動拡散で容易に再吸収される。薬物の代謝で脂溶性が低下すると化合物を生じ腎排泄を助ける。イオン化は尿細管液のpHに依存する。尿pHを操作することは、時に薬物の腎排泄の増加に役立つ。弱酸と弱塩基は、近位尿細管で能動的に分泌される。胆汁排泄-ある薬物は胆汁に濃縮され小腸に排泄され、再吸収される。この腸肝循環は体内薬物の持続性を高める。糞便中に排泄される。[斉藤秀哉・他:新薬理学講義;南山堂,1984・麻生芳郎・訳:一目でわかる薬理学 第3版;メディカル・サイエンス・インターナショナル,1997]
AM Alternative Medicine [オルタナティブ・メディシン]。『代替医療』。代替医学あるいは代替医療について『現代西洋医学領域において、科学的未見証及び臨床未応用の医学・医療体系の総称』(日本補完・代替医療学会)と定義しており、現代西洋医学の立場から代替医療を科学的に検証する[鈴木信孝:代替医療-国内の現状と海外の動向;日病薬誌,38(7):937-939(2000)]
AUT Actual Use Trial [アクチュアル・ユーズ・トライアル]。『使用実態治験』。OTC薬について、その薬が売られている状況下での使用成績が必要ではないかということで考えられている方法[INTERVIEW-新一般用医薬品の使用実態治験;医薬品情報学,3:60-65(2001)]。
CAM complementary and alternative medicine [コンプリメンタリー・アンド・オルターナティブ・メディシン]。『補完・代替医学』。1993年ハーバード大学に設置。現在米国の医学校約1/3に開設されている。カイロプラクティス(Chiropractic)治療師、ホメオパシー(homeopathy;同毒療法)治療師、鍼灸(acupuncturist)治療師等の治療法の科学的分析・検討及びハーブの薬効検討等がされる講座。[週刊医学界新聞;第2291号,1998.6.1・鈴木信孝:代替医療-国内の現状と海外の動向;日病薬誌,38(7):937-939(2000)]
CDC Centers for Disease Control and prevention [センターズ・フォー・デジース・コントロール・アンド・プリベンション]。『米国疾病防疫センター』。アメリカ防疫センター。アメリカ疾病管理センター。米疫病管理予防センター。
CDE Certified Diabetes Educator [セルチファイド・ダイアベテス・エデュケーター]。「認定された糖尿病教育者」であり、『糖尿病教育士』と訳される。認定を受けるためにはCDE試験に合格しなければならない。CDE試験の受験資格は、医師、看護師(registered nurse)、栄養士(registered dietitian)、薬剤師(registered pharmacist)として免許あるいは登録のある者又はヘルスケアの専門分野で修士課程を修了しているヘルスケア専門家。糖尿病教育に2年以上携わり、かつ糖尿病患者教育に直接従事した時間が2000時間以上である者。CDE試験を受けた者は、5年毎に試験を受け認定を更新する。5年間に700時間以上の単位を取得することを受験条件とするが、この単位は、講演会やAADE年次大会への参加、各地で開催される糖尿病教育コースへの参加などによって取得できる(8。
CJD Creutzfeldt-Jakob Disease [クロイツフェルド・ヤコブ・デジーズ]。CJDは、稀に見られる中枢神経系の致死的疾患である。CJDの症例の多くは孤発性で、その感染及び発症機序は不明である。CJDの5-10%は家族性で有り、また、角膜移植、硬膜移植及びヒト下垂体製剤使用等の医療行為による偶発的な感染が報告されている。CJD は10歳の若年者及び80歳の高齢者の症例が報告されているが、一般的には50歳から75歳の間に発症する。病原体は異常プリオンと呼ばれる蛋白質である。
CRC Clinical Research Coordinator [クリニカル・リサーチ・コーディネーター]。『治験コーディネーター』『臨床治験調整担当』。患者と医師、更に製薬会社との連絡役となり、治験の円滑な運営を支援する専門職能。看護師や薬剤師など、看護・薬物の知識を持つ専門職能が治験コーディネーターとなる事例が多い[井上道敏・監修:治験-あなたの疑問にお答えします;日本製薬工業協会,2002.1.10. ]。
CRO Contract research organization [コントラクト・リサーチ・オーガニゼーション]。『医薬品開発業務受託機関・臨床試験受託機関』。企業の委託を受け、業務の一部を代行する。治験の場合には製薬会社の依頼により、患者の基本条件の確認や治験を行う病院の紹介などの治験初期の申し込みセンターの業務も受託する[井上道敏・監修:治験-あなたの疑問にお答えします;日本製薬工業協会,2002.1.10. ]。
DRG Diagnosis Related Groups [ダイアグノウシス・リレイテッド・グループズ]。「疾患別定額払い方式」。1987年米国政府が関与して開始されたシステムで、疾病別の支払い方式。HMOや医療保険取扱い会社は、入院費や治療費等をDRGに定められた基準額を基に計算して支払う[週刊医学界新聞;第2288号,1998.5.11.]。
DSU Drug Safety Update [ドラッグ・セフティ・アップディト]。「医薬品安全対策情報」。(財)公定書協会と日本製薬団体連合会が共同で年10回、病院、診療所、薬局に発送している冊子。「使用上の注意」の改定など薬安指示書等が出された後、1カ月以内に医療機関に届くように発行されている。対象は、日本製薬団体連合会の安全対策情報部会に参加している製薬企業が製造または輸入している医療用医薬品[小澤 光・監修:新選繁用医療用語;株式会社薬事新報社,1995]。
EBM Evidence-based medicine [エビデンス・ベイスド・メディシン]。「科学的根拠のある診断・治療」。「根拠のある医療」
*限られた医療資源を効率的に活用し、医療の質と患者サービスの向上を図るためにはEBMの実現が不可欠であり、そのための手段として医療技術評価は重要であるとして、厚生省は平成8年より「医療技術評価の在り方に関する検討会」を設置、平成9年6月に報告書のとりまとめを行った。「医療技術評価」とは、健康増進、疾病予防、検査、治療、リハビリテーションや長期療養の改善のための保健医療技術の普及と利用の意思決定を目的として、個々の医療技術を適用した場合の効果・影響について、健康結果を中心とした医学的側面や経済的、社会的側面から総合的に評価する活動をいう[読売新聞,1998.4.21.朝刊社説・週刊医学界新聞;第2294号,1998.6.22]。
ED Ethical Drugs [エシカル・ドラッグス]。『処方薬・要指示薬・医療用医薬品』。医師の指導の下に用いなければ適切な効果を発揮することができないばかりでなく、危険を生ずるおそれのある医薬品。厚生労働大臣により指定。販売業者は医師、歯科医師又は獣医師からの処方せんの交付又は指示を受けた者以外に販売又は授与できない。
FDA Food and Drug Administration [フード・アンド・ドラッグ・アドミニストレイション]。アメリカの食品及び医療品行政の中枢部。医薬品や食品の許可、取締等を実施する機関[小澤 光・監修:新選繁用医療用語;株式会社薬事新報社,1995]。
GCP Good clinical practice [グッド・クリニカル・プラクティス]。『医薬品の臨床試験の実施の基準』に関する省令。
GLP Good laboratory practice [グッド・ラボラトリー・プラクティス]。「医薬品の安全性試験の実施に関する基準」。試験施設、実験者のレベルについて基準を設け、これらを規制して研究体制の整備向上を図ろうとするもの[小澤 光・監修:新選繁用医療用語;株式会社薬事新報社,1995]。
GMP Good manufacturing practice [グッド・マニュファクチャリング・プラクティス]。▼*『医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令』 [厚生労働省令第179号・平成16年12月24]。▼*『医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理の基準に関する省令』 [厚生労働省令第169号・平成16年12月17日]。▼■医薬品等の品質管理のために製造中の原料、試験、製造工程、設備等を総体的に管理するシステム。WHOが打ち出したもので、医薬品の品質管理の原則、医薬品の製造に関する規則、国際貿易の場の医薬品の品質に関する証明書制度の三つが柱になっている。
GPSP good postmarketing study practice2005年4月1日施行 [グッド・ポストマーケッティング・スタディ・プラクティス]。『医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令』▼?使用成績調査:製造販売後調査等のうち、製造販売業者等が、診療において、医薬品を使用する患者の条件を定めることなく、副作用による疾病等の種類別の発現状況並びに品質、有効性及び安全性に関する情報の検出又は確認を行う調査をいう。▼?特定使用成績調査:使用成績調査のうち、製造販売業者等が、診療において、小児、高齢者、妊産婦、腎機能障害又は肝機能障害を有する患者、医薬品を長期に使用する患者その他医薬品を使用する条件が定められた患者における副作用による疾病等の種類別の発現状況並びに品質、有効性及び安全性に関する情報の検出又は確認を行う調査をいう。

▼?製造販売後臨床試験:製造販売後調査等のうち、製造販売業者等が、治験若しくは使用成績調査の成績に関する検討を行った結果得られた推定等を検証し、又は診療においては得られない品質、有効性及び安全性に関する情報を収集するため、当該医薬品について法第14条又は法第19条の二の承認に係わる用法、用量、効能及び効果に従い行う試験をいう。▼次のような試験が製造販売後臨床試験に該当。

▼*腎機能障害を有する患者等特別な背景を有する患者での適正な使用方法を確立するための試験等[医療用医薬品の市販後調査等の実施方法に関するガイドライン;医薬安第166号・医薬審第1810号,平成12年12月27日厚生省医薬安全局安全対策課長・審査管理課長]。

GVP good vigilance practice▼2005年4月1日施行薬事法施行規則第253条第一項第一号イ(1)から(6)まで及びロ並びに第二号イに掲げる症例等▼一.次に掲げる事項:15日イ.次に掲げる症例等の発生のうち、当該医薬品又は外国で使用されている物であって当該医薬品と成分が同一性を有すると認められるもの(以下この項において「当該医薬品等」という。)の副作用によるものと疑われるものであり、かつ、そのような症例等の発生又は発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が当該医薬品の添付文書又は容器若しくは被包に記載された使用上の注意から予測できないもの。▼(1)死亡、(2)障害、(3)死亡又は障害につながるおそれある症例、(4)治療のために病院又は診療所への入院又は入院期間の延長が必要とされる症例((3)に掲げる事例を除く。) 、(5) (1)から(4)までに掲げる症例に準じて重篤である症例、(6)後世代における先天性の疾病又は異常▼ロ.当該医薬品等の使用によるものと疑われる感染症によるイ(1)から(6)までに掲げる症例等の発生。▼二. 次に掲げる事項(前号に該当するものを除く。) 30日▼イ.当該医薬品の副作用によるものと疑われる前号イ(1)から(6)までに掲げる症例等の発生▼2.医療機器の製造販売業者又は外国特例承認取得者は、その製造販売し、又は承認を受けた医療機器について、次の各号に掲げる事項を知ったときは、それぞれ当該各号に定める期間内にその旨を厚生労働大臣に報告しなければならない。 [グッド・ビジランス・プラクティス]。『医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の製造販売後安全管理の基準に関する省令』。
?安全管理情報:医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器(以下「医薬品等」という。)の品質、有効性及び安全性に関する事項その他医薬品等の適正な使用のために必要な情報をいう。
?安全確保業務:製造販売後安全管理に関する業務のうち、安全管理情報の収集、検討及びその結果に基づく必要な措置(以下「安全確保措置」という。)に関する業務をいう。
安全確保措置:安全確保業務のうち、安全管理情報の収集、検討及びその結果に基づく必要な措置
?市販直後調査:安全確保業務のうち、医薬品の製造販売業者が販売を開始した後の6カ月間、診療において、医薬品の適正な使用を促し、薬事法施行規則第253条第一項第一号イ(1)から(6)まで及びロ並びに第二号イに掲げる症例等の発生を迅速に把握するために行うものであって、法第79条第一項の規定により法第14条第一項の規定による承認の条件として付されるものをいう。
医薬品情報担当者:医薬品の適正な使用に資するために、医療関係者を訪問すること等により安全管理情報を収集し、提供することを主な業務として行う者をいう。
医療機器情報担当者:医療機器の適正な使用に資するために、医療関係者を訪問すること等により安全管理情報を収集し、提供することを主な業務として行う者をいう。
第一種製造販売業者:法第49条第一項に規定する厚生労働大臣の指定する医薬品(以下「処方せん医薬品」という。)又は高度管理医療機器の製造販売業者をいう。
第二種製造販売業者:処方せん医薬品以外の医薬品又は管理医療機器の製造販売業者をいう。
第三種製造販売業者:医薬部外品、化粧品又は一般医療機器の製造販売業者をいう。
HMO Health Maintenance Organization [ヘルス-メンテナンス・オーガニゼイション]。「健康民間団体保険組織」。1965年米国のジョンソン大統領の大社会政策の下に制定された二つの公的医療保険制度メディケイド(貧困者補助保険:州と連邦政府が医療費負担。但し、ナーシングホームの入院前コストの52%支払うにとどめられている。)とメディケア(老齢者・身障者保険:65歳以上の老人と身障者に対し、州と連邦政府が費用負担。但し、急性期疾患とリハビリテーションの費用に限定。老人ホームの長期介護費用は支払われない)の対象者以外は、全て自費で保険会社等と契約することになっている。HMOは米国東部における契約機構。医療機関に対する支払いは、病院や医師との交渉により協定値段が決定される。これをmanaged care(管理医療)という[週刊医学界新聞;第2288号,1998.5.11.]
HTA Health Technology Assessment [ヘルス・テクノロジー・アセスメント]。『医療技術評価』。ヘルス・テクノロジー・アセスメントは、「技術の適用に伴う技術的・経済的・社会的結果を検討する包括的な政策研究」を医療に適用したものであり、医療技術の臨床的有効性と経済的効率を総合的に評価することを目的としている[厚生白書平成9年版,1997]。
IBDPSUR→ International Birth Date [インターナショナル・バースデート]。『国際誕生日』。(ア)我が国又は外国で初めて当該医薬品の製造又は販売が認められた日((イ)に掲げる場合を除く)。
(イ)国際誕生日が我が国における承認日以外の場合であり、それが我が国における承認日の6カ月以前の時は、その日から起算して6カ月ごとの整数倍を経過した日のうち、当該医薬品が承認された日の直前の日。ただし、国際誕生日から起算して6カ月の整数倍を経過した日が我が国で承認された日と同じ場合にあっては、当該承認日。
*世界各国のいずれかの会社により一番最初にその成分の承認された日(若しくはその日に属する月の最終日)を国際誕生日と名付け、提出時期の起算点とする。原則として国際誕生日から6カ月の整数倍の時期の中から選んで報告を求める?定期的報告の起算日となる。
IC informed consent [インフォームド・コンセント]。『十分な説明に基づく、納得したうえでの自由な意思に基づく同意』(1。▼*『患者が自己の病状、医療行為の目的、方法、危険性、代替治療法等につき正しい説明を受け、理解した上で、自主的に選択・同意・拒否できるという原則』(日本弁護士連合会第33回人権大会,1992.11.(7)。*薬剤情報だけが独立した存在としてではなく、医療機関→組織としての情報提供に関する意識改革が必要*患者自身が医療知識を持たなければならない。誰が教えるのか?

*パターナリズム(paternalism):父権主義[父子(家族)主義、温情主義]→がん患者に対し、十分な説明に基づく同意(IC)がなかなか進まない理由として「任せておけ」に代表される医師側の父権主義があると6割もの看護婦が考えている。癌告知率の低い医療機関が、IC阻害要因としてのパターナリズムを挙げた(4。*『納得診療』(カタカナ語の言い換え例:国立国語研究所)。

ICD International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems [インターナショナル・ スタティスティクル・クラシフィケーション・オブ・ デジーズ・アンド・リレイテッド・ヘルス・プロブレムス]。『疾病及び関連保健問題の国際統計分類』。異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類。現在、国際的に使用が勧告されている分類は『ICD-10』で、1990年の第43回世界保健総会において採択された第10回修正である。分類表は21の章から構成され、その分類の基本は「アルファベッド」+「2桁の数字」で表される中間分類項目の3桁分類(例:C17 小腸の悪性新生物)である。国際レベルで行う死因統計の作成では、この3桁分類項目までのコーディング(cording)が必須とされている。 更に3桁分類項目の大半は細分化され、4桁項目が設けられている▼例:小腸の悪性新生物▼
*第2章 新生物(C00-D48)* C17 小腸の悪性新生物* C17.0 十二指腸

* C17.1 空腸

* C17.2 回腸

* C17.3 メッケル憩室

* C17.8 小腸の境界線病巣

* C-17.9. 小腸、部位不明
[Pharmacist News No.196:5,2002.12.27.]

ICH International Conference on Harmonization of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use [インターナショナル・カンファレンス・オン・ハーモナイゼーション・オブ・テクニカル・リクワイアメント・フオー・レジストレイション・オブ・ファーマシューティカルス・フオー・ヒューマン・ユース]。「医薬品許認可のための技術要件の調和に関する国際会議」。ICHの目的は、日米欧三極の新医薬品の承認申請資料などの調和、整合性(ハーモナイゼーション)を図ることにより、データの国際的な相互受入れを実現し、臨床試験や動物実験などの繰返しを防ぎ、新医薬品開発の研究開発を促進、優れた新医薬品をより早く市場化することにある。1990年より活動を開始、1993年ブリュッセルで「医薬品の開発に関する日・欧・米協議」初会合。1994年米国において第2回会議(ICH2)、1995年11月ICH3横浜開催。統一GCP案公表(1。
INCLEN International Clinical Epide-miology Network [インターナショナル・クリニカル・エピデミアラジン・ネットワーク]。1988年非営利の財団として設立。臨床疫学を広め、臨床医の力で医療を合理的に行い、かつ信頼性と説得性のある応用科学として臨床医学を発展させるとともに、国民の健康づくりの基礎を築くということを目的に設立[週刊医学界新聞;第2292号,1998.6.8]
INN International Non-proprietary Name [インターナショナル・ノン-プレプライエタリー・ネーム]。「国際一般名 」。WHOが決定した名称。[小澤 光・監修:新選繁用医療用語;株式会社薬事新報社,1995]
IRB Institutional Review Board 『インスティテューシヨナル・レビュー・ボード』、『治験審査委員会(制度化した検閲委員会)』。『施設内治験審査委員会』。委員の構成:?治験について倫理的及び科学的観点から十分に審議を行うことができること。?5名以上の委員。?委員のうち医学、歯学、薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者以外の者が加えられていること。?委員のうち実施医療機関と利害関係を有しない者が加えられていること。審議内容:当該実施医療機関において、治験を行うことの適否について審議する。?治験実施計画書、?治験薬概要書、?症例報告書の見本、?説明文書、?治験責任医師・治験分担医師の氏名を記載した文書、?治験の費用の負担について説明した文書、?被験者の健康被害の補償について説明した文書。上記の他?被験者の募集の手順に関する資料等。審査の対象とされる治験が倫理的及び科学的に妥当であるか否か。実施するに適当であるかどうか。
JAN Japanese Accepted Nemes [ジャパニーズ・アセプテッド・ネーム]。『日本承認薬名』。WHOの医薬品一般名命名によるものを日本の中央薬事審議会で日本名として判定した一般名のこと[小澤 光・監修:新選繁用医療用語;株式会社薬事新報社,1995]
MR medical representatives [メディカル・リプレゼンタティブス]。『医薬品情報担当者』。医療機関等に情報を提供する製薬企業の社員は、従来、プロパと呼称されていたが、情報提供業務の充実が求められることから、製薬企業を代表する者としての位置付けを明確にするとして名称の変更がされた。
NBM Narrative Based Medicine [ナラティブ・ベースド・メディシン]。『経験に基づく対話を基礎とする医療』。患者のための良質な医療のプロセスとして医師と患者の間で交わされる対話(dialogue)と、それによって形作られるstory(case history)の重要性を強調。患者の話を十分に聞き、また医師が経験をふまえてよく話し合うことによって、初めて患者にとって最適な治療法が見いだされる。『医師の経験やそれに基づいた勘などを用いながら患者の個性を重んずる医療』であると解釈される[山田好則・他:EBMとNBMがもたらす良質な医療と医学の進歩;新医療,5:98(2000)]。
NIH National Institute of Health [ナショナル・インスティテュート・オブ・ヘルス]。米国・マジソンベセスダ市にある医学関係の総元締めの役割を持つ機関。[小澤 光・監修:新選繁用医療用語;(株)薬事新報社,1995]。
OAM Office of Alternative Medicine [オフイス・オブ・オルターナティヴ・メディシン]。1992年に米国・NIHが設置した代替治療事務局。1998年には格上げされてThe National Center for Complementary and Alternative Medicine(NCCAM) となりNIHの18の機関やセンターと同列になった[週刊医学界新聞;第2291号,1998.6.1・鈴木信孝:代替医療-国内の現状と海外の動向;日病薬誌,38(7):937-939(2000)]
OTC薬 Over the counter Drug [オーバー・ザ・カウンター・ドラッグ]。OTCとは“カウンター越しに販売する薬”の意味で、通常『大衆薬』と認識されている。大衆薬とは処方せんなしで、一般の薬局等で大衆が自由に購入できる薬物。
switch-OTC薬 Switch Over the counter Drug *スイッチOTCとは、販売後一定の年限が経過し、安全性が確立し、海外において『OTC薬』として市販されている等、種々の条件を勘案し承認される医療用医薬品から大衆薬への切換え製品。
direct-OTC薬 Direct Over the counter Drug *ダイレクトOTC(新一般用医薬品)とは、一般用医薬品(大衆薬)のうち全く新しい成分を含有している医薬品。通常、一般用医薬品の新薬の申請は、医療用医薬品としての使用経験、次いで一般用医薬品(OTC)にスイッチという方法が取られるが、逆に初めからOTC薬として承認申請された薬物をいう。
*医療用医薬品としての使用経験のない薬剤を直接『OTC薬』として承認する事例で、市販後6年経過後に医療用医薬品と同様再評価を求められている。国内ではミノキシジルを成分とする育毛剤リアップ(大正製薬)が第1回目として承認された。
PAE post antibiotic effect [ポスト・アンチバイオティク・エフェクト]。『抗生剤後効果』と訳されており、細菌に抗生剤を一定時間作用させた後、薬剤を除去した時に見られる細菌に対する影響(持続的に再増殖が阻止される効果)のことをいい、一般に時間で示される。臨床上の意義について、例えば、アミノ糖系抗生物質は、グラム陰性桿菌に対しPAEを有していること及び腎毒性の発生機序が明らかにされたことから、1日1回の大量投与療法の検討がされている。アミノ糖系抗生物質は、最高血中濃度が高いほどPAE及び臨床効果が増強すると報告されている。抗菌剤がPAEを有するか否かは薬剤と細菌の組合せで異なり、β-ラクタム系製剤では、PAEのないグラム陰性桿菌に対しては有効濃度を維持する投与法が重要であるとされている。[加藤 勝治・編:医学英和大辞典;南山堂,1997・日本医薬品卸勤務薬剤師会DI委員会・編:卸DI実例集(第6集);日本医薬品卸業連合会,1995.3.1.]
PIL Patient Information Leaflet [ペイシエント・インフォメーション・リーフレット]。患者向け説明文書(EC加盟国)(1
PMS Post-Marketing Surveillance [ポスト-マーケッティング・サーベイランス]。『市販後調査』。医薬品の市販後調査。「副作用報告制度」、「再審査制度」、「再評価制度」(1。
PMI Patient Medication Instruction [ペイシェント・メディケーション・インストラクション]。米国医師会が発行している患者用説明文書[小澤 光・監修:新選繁用医療用語;株式会社薬事新報社,1995]。
PPI Patient Package Insert [ペイシエント・パッケージ・インサート]。FDAが作成した薬物の使用方法、副作用等を記載した患者用添付文書。患者向け説明文書(添付文書)[小澤 光・監修:新選繁用医療用語;株式会社薬事新報社,1995]。
PSUR Periodic Safety Update Report [ペリオディク・セフティー・アップデート・レポート]。『定期安全性最新報告』(承認後2年間は半年毎報告。承認後3年目以降、再審査期間中は年1回報告)。1)医薬品の開発企業が、世界各地で当該医薬品を販売する関連会社から、その国における当該医薬品の安全性情報を収集する。2)収集した情報を分析・評価し、PSURを作成する(国際誕生日から6カ月毎)。*各国の規制状況、承認状況*各国の副作用、臨床試験、研究*世界標準添付文書(使用上の注意)

3)作成したPSURを各国の関連会社に提供する。*低頻度の副作用を早期に発見*再審査・再評価に利用*長期投与による副作用を早期に発見*外国政府の規制状況を把握

PTSD posttraumatic stress disorder [ポストトラウマティク・ストレス・ディスオーダー]。『心的外傷後ストレス障害』。自然災害や戦争、交通事故、誘拐、監禁、性的虐待などで被害を受けたり、身近な人の死を目の当たりにするなどの体験をすると人は心に耐え難い強烈なショックを受ける。これを心的外傷(トラウマ)と呼び、それによるストレスが心身に引き起こす様々な障害をいう。米国ではベトナム戦争体験の後遺症と思われる精神障害がみられ、調査、研究の結果、80年から米国精神医学協会の診断マニュアルにこの病名が収載された。日本では95年の阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件、96年末に起きたペルー日本大使館公邸人質事件などでこの病名が知られるようになった。PTSDの診断基準は、?自ら生死にかかわる事件に遭遇したり、他人の瀕死の状態や死を目撃した体験、?強い無力感や恐怖感を伴う体験のいずれかのトラウマ体験に曝されたことがある場合となっている。社会生活の適応阻害の他、不安、抑鬱、睡眠障害、情緒不安定、急激な孤独感などがよく見られる。患者に対しては早期発見、診断に基づき専門家によるカウンセリング等心のケアを受けさせる(6。
QOL quality of life [クオリティー・オブ・ライフ]。『生命の質』又は『生活の質』と訳される。医師を始めとする医療従事者が治療をする上で、患者の環境、社会的・経済的状態あるいは生活様式を考え、医師・患者の関係の中で種々の症状を和らげ、病気の後遺症を癒し、それに伴う不安等を和らげる努力をすることを、患者のQOLを考えた医療という[小澤 光・監修:新選繁用医療用語;株式会社薬事新報社,1988]。*英語のlifeには生命・生活・余生・救い等の訳語があるため、日本語での定義付けは難しい。『本人の感じている幸福感と満足感、協調感』に要約されるという意見もある。『個々の価値観によって左右され』必ずしも一般的概念が当てはまるわけではない。
RAD-AR(レーダー) Risk/benefit Assessment of Drugs-Analysis & Response [リスク/ベネフィト・アセスメント・オブ・ドラッグス-アナリシス・アンド・レスポンス]。『日本RAD-AR協議会(日本レーダー協議会)』。『危険/利益査定-医薬品評価と応答』。医薬品が本質的にもっているリスク(危険)とベネフィット(利益)について分析・評価して、その成果を基に医薬品の適切な使用推進を図り、患者の利益に貢献する一連の運動。日本でも日本レーダー協議会を作り活動している[小澤 光・監修:新選繁用医療用語;株式会社薬事新報社,1988]。「くすりのしおり」発行(患者向け情報源)。▼*医薬品の副作用に対する社会の批判に、当事者の一員である製薬企業が必ずしも的確に対応してこなかったとの反省にたって、医薬品の本質-BenefitとRisk-を科学的に検討して公表し、社会に医薬品の価値を認識してもらえるよう、世界の大手製薬企業有志が開始した活動。
SBR Summary Basis of Reexamination [サマリー・ベーシス・オブ・レクザミネーション]。『再審査結果概要』。従来、市販後調査のデータは、再審査申請のためにのみ使用されてきたが「適正使用推進の一環として、医療機関などへ再審査内容及び過程について情報提供する。」として公開されることになった資料(1。
TDM therapeutic drug monitoring [セラピュティク・ドラッグ・モニタリング]。『薬物療法(有効血中濃度)モニタリング』。薬物療法の適正化、個別化を目指し、薬物の血液中濃度測定を通じて行う薬物治療管理のこと。薬物投与計画の設定や処方の改善、コンプライアンス(規則(服薬)遵守)の徹底等に大きく貢献している[小澤 光・監修:新選繁用医療用語;株式会社薬事新報社,1988]。
TW therapeutic window [セラピュティク・ウィンドウ]。『治療濃度域』。抗うつ薬の解説中にみられた用語。疾病に反応す有効血中濃度の幅(範囲)を示す。例えば抗うつ薬のうち「ノリトリプチリン」では50?150ng/mLがtherapeutic windowとして存在する[村崎光邦:うつ病診療をめぐる最近の話題;Medicament News,No.1581:10-(1998.4.25.)]。
WHO World Health Organization [ワールド・ヘルス・オーガニゼーション]。『世界保健機構』。国際連合の中で、厚生部門を担当する組織[小澤 光・監修:新選繁用医療用語;株式会社薬事新報社,1988]。
WP window period [ウィンドウ・ピリオド]。『空白期間』。感染後抗体が出現するまでの空白期間。この期間に抗体を測定しても抗体は出現せず、感染の確認ができない[Nikkei Business Publications,Inc.All RIghts Reserved.,1997.6.19]。

1)山崎 幹夫・他編:医薬品情報学;東京大学出版会,1997
2)朝倉 俊成・他:薬剤師としてCDE制度を見つめて;薬事新報,No.1999:352-358(1998)
3)小川 祐二郎:からだの百景-潰瘍のないのに「胃に異常」;読売新聞夕刊,1997.10.20.
4)情報ファイル-医師の父権主義が阻害-がん患者の「説明に基づく同意」;読売新聞夕刊,1997.10.13.
5)週刊薬事新報,No.1979:19(1997)
6)南 砂:PTSDって何?;読売新聞,1998.3.14.
7)池永 満:医薬品の安全性と患者の権利-インフォームド・コンセントと医療記録の開示を中心として-;社会薬学,15(1):21-31(1996)

[1997.10.13. 古泉秀夫・1998.6 .23. 第8改訂・2003.1.23.第9改訂・2003.12.18.第10改訂・2005.4.30.第11改訂]