「小児麻酔時の前投薬について」

KW:薬物療法・小児麻酔・麻酔前投薬・アタラックスPシロップ・トリクロリールシロップ・セルシンシロップ

Q:5歳児の手術を行う際の麻酔前投薬として、何を使用すればよいか

A:次の通り報告されている。
筑波大学麻酔科・編の『筑波大学麻酔科研修の手引き(10.小児麻酔)』では、麻酔前投薬について、次の記載が見られる。

月例・年齢 前投薬実施例
6ヵ月未満 なし
6ヵ月以上 アトロピン 0.02mg/kg
アタラックスPシロップ 2-4mg/kg
(max 100mg) 経口
トリクロリールシロップ 0.7ml/kg
(max 15ml) 経口

注意事項
? 年長児にはアタP、トリクロのかわりにセルシン0.2mg/kg(max10mg)あるいはセルシンシロップ(1mg/mlを0.3-0.7ml/kg)を投与することもある。患者の手 術の受け入れの程度、術前状態 (循環、意識レベルなど) や手術時間にあわせて量を加減する。発熱時にはアトロピンの投与は控える。
?ミルク後NPO(non per oral)とはせずに手術入室2-3時間前にClear Water*を飲ませる。
? Clear Waterは糖水・ポカリスエット・粒の入っていないオレンジジュース・アップルジュースなど、量は10ml/kgが目安。

その他、大阪市立大学医学部付属病院 麻酔科では、HP上に次の案内を掲載している。
『手術を受ける患者様には麻酔科外来を受診していただきます。 われわれ麻酔科専門医が診察し、手術の種類や患者様の状態に応じて麻酔方法を決定します。「麻酔はなぜ必要なのか?」 「麻酔はどうやってするのか?」 「麻酔は安全なのか?」 など、心配なことがあれば何でもご相談ください』。

『麻酔科術前診察外来開設のお知らせ』

『当科では従来、病棟まで麻酔科研修医が出向き、ベッドサイドで麻酔科術前診察や説明を行ってきました。医療の質の向上が叫ばれる昨今、このシステムでは患者さま、麻酔科(あるいは市大病院)双方にとって、不利益が多いと思われます。そこで、関係各部署の協力を得て、麻酔科・ペインクリニック外来において、麻酔科術前診察外来を開設する運びとなりました。
麻酔科術前診察外来では麻酔科専門医・指導医が麻酔申込書やカルテ、レントゲンフィルム等を参考に、手術を受ける患者さまを診察し、最も適した麻酔方法の決定や、麻酔について説明を行います。』

『麻酔前投薬中止のお知らせ』

全身麻酔導入に長時間を要し、興奮期を誘発する麻酔薬(エーテル、ハロタンなど)を使用した時代には、麻酔前投薬は必須とされてきました。しかし、刺激性が少なく調節性のよい麻酔薬が開発されて一般化し、最近では、麻酔前投薬の必要性が低いと考えられ始めています。当科では従来、前投薬として、小児にはセルシン・シロップ内服、成人にはアイオナールやセルシンの筋肉注射を行い、硫酸アトロピンやH2ブロッカー(胃酸分泌を抑制する薬)の筋肉注射を併用してきました。しかし、当科でも、麻酔前投薬には、そのリスクを上回る必要性が少ないと考えるようになりました。一般病院はもちろんのこと、近隣の大学病院でも前投薬廃止による不都合は殆ど聞かれません。
以上を踏まえ、平成17年8月1日より、基本的には麻酔前投薬を中止いたします。
なお、患者さまの状態によっては前投薬の投与が望ましい状況もあるため、術前診察時にご相談いたします』。

以上の報告を参照し、使用薬剤の検討をされたい。

1)筑波大学麻酔科研修の手引き;http://www.md.tsukuba.ac.jp/clinical

med/anesthesiology/m-10.html,2006.7.24.
2)池下和敏(大阪市立大学医学部付属病院麻酔・集中治療医学 助手);http://www.

med.osaka-cu.ac.jp/Anesth/premedi.html,2006.7.24.

[035.1.ANE:2006.7.24.古泉秀夫]